拠点訪問

2026.07.23

大日本塗料

大日本塗料小牧事業所

研究職には辛抱強さが必要だが、
成功したときの達成感は何よりも大きい

研究職には辛抱強さが必要だが、 成功したときの達成感は何よりも大きい

大日本塗料小牧事業所は、新幹線JR名古屋駅から名鉄犬山線に乗り換え、各停・準急・急行などで15~20分程度で岩倉駅に到着する。事業所の最寄りには石仏駅もあるが、タクシーを手配しやすい岩倉駅を利用したほうがいいかもしれない。

レンタカーで行くなら、名古屋駅周辺から車で30~40分ほど。周辺は工場や事業所などが点在する工業団地となっており、小牧インターチェンジや東名高速道路、名神高速道路などが通るため、近年も工場や物流拠点などが増え続けている。

大日本塗料の生産拠点は小牧事業所と那須事業所と東西に分けて二つある。小牧事業所は自動車向けや工業用焼付塗料が中心で、那須事業所は建築や構造物向けの汎用塗料の生産が中心となっている。ただ、東西それぞれのデリバリーにあわせてニーズがある塗料を作っているため、厳密に分かれているわけではない。ちなみに小牧事業所の社食はとてもおいしいらしい。

敷地内で新しさが際立つのは、2020年に建てられたコーティング技術センター(CTC)だ。あらゆる素材コーティングを研究する総合施設で、意匠性の向上や新素材への塗装など、業種を問わず、塗装に関するさまざまな課題に対してソリューションを提供している。

気になるのが、ニュースでも連日報じられているホルムズ海峡封鎖の影響だが、小牧事業所でも原料の仕入れが厳しくなっているという。現在は、需要に対する供給を少し制限しながら、生産調整を行っている。この状況を打開すべく、別ルートやほかの海外ルートなどを探している。早く通常の状態に戻ることを願うばかりだ。

さて、今回登場する小牧事業所研究部研究第二グループのメンバー7人のうち5人。どんな方達が働いているのか。これから紹介しよう。

新たな研究でトライ&エラーが多いため、
日々の目標を定めて、それを積み重ねていく

大日本塗料小牧事業所研究部研究第二グループ長の前田 浩志さんは、自動車や家電、建材向けといった工業用塗料を中心に将来の塗膜形成技術や、塗装技術を研究開発する部署長として、テーマ企画管理から人材育成に携わる一方、長期的な視野から、カーボンニュートラルに適した新規塗料系、新規塗装手法などに関する研究開発に従事している。

「ほかにもお客さまやパートナーを組んでいる企業との折衝、各メンバーの研究開発の進捗管理、各事業部との橋渡しなどを行っています。20~30代の若手が中心メンバーであるため、明るく元気のよい部署だといえます」

グループ長になって6年目ほど。管理職としてどんなときに苦労を感じるのだろうか。

「私達の部署は長期的な視野に立った研究開発を行っていますので、現在テーマにあがっている技術が実現可能か分からない、トライアルな研究が中心となっています。そのため、メンバーが日々努力しているものの、達成感を感じづらい面もあります。自分達がどれくらい“進化した”のか、分かりにくいのです」

そのため、メンバーのモチベーションを保つことを心がけている。

「日々の目標を定めて、それを積み重ねていく。研究にメリハリをつけるようにしています。ただ、これまでやったことがない新たな研究が多いため、トライ&エラーが多く、そこは研究開発特有の辛抱強さが必要な一方、うまくいけば達成感もありますね」

前田さん自身は部署長として、その道のプロの方々の関心をつかみ、研究開発の契約に結びついたときに、やり甲斐を感じることが多いという。

研究第二グループの小川 将吾さんはコーティング技術センター(CTC)の活用に携わっている。CTCは各種塗装設備を備える実験棟で、さまざまな塗装機器を使用した塗装実験、周知拡大・活用促進のための社内外へ向けたアピールを行っている。
「お客さまの塗装ラインをCTCで再現し、塗料改良につなげる仕事が多いため、お客さまと同じ結果が出るような条件調整を行うことが苦労するところです。装置や環境の違いで結果が変わるため、意外と繊細なのです」

仕事ではさまざまな塗料や装置を扱いながら、研究を進めていく。塗料メーカーに勤めていてやり甲斐を感じるのはどんなときか。

「CTCでの塗装試験を経て塗料の採用が決定したと聞いたときです。世のなかの製品で塗料を使っていないものはほとんどありません。自分も入社するまでは、こんなに使われているとは思ってもみませんでした」

仕事を重ねるにしたがって、実験のスピードも速くなっていく。入社7年目にして、自分の成長を感じるときがあるという。

「今は幅広く、さまざまな塗料を扱う仕事をしていますが、今後は専門的に塗料をつくれるような仕事に携わることができたら面白いなと思っています」

ブレイクスルーは難度が高く、
その分、やり甲斐も感じています

研究第二グループの森山 可菜さんは塗料の硬化に必要なエネルギーの低減を目的とした新規塗料の研究を行っている。硬化条件や塗料配合による塗膜物性への影響を評価し、商品開発につなげるための基盤技術の構築に携わる。

「今は熱で硬化させる塗料が多いのですが、熱の代わりにUV(紫外線)で硬化させるなど、与えるエネルギー量が低くても硬化するような塗料の研究をしています。どんなエネルギー源を使えば、塗料としてどんな物性が出せるのか。また、その物性はどこに適応できるのか。日々、硬さと柔軟性の両立をテーマに塗料の研究を行っています。硬さと柔軟性はトレードオフになる物性が多く、両立させるためのブレイクスルーは難度が高い分、やり甲斐も感じています。バランスをとって絞り込むよりは、両立するための手法の確立がゴールになります。まだ研究の途中ではありますが、自分の仮説が正しかったことが分かったときは何よりうれしいですね」

実験が好きだという森山さん。将来はどんなキャリアを築いていきたいのか。

「まずは自分が研究したものが、商品になっていくプロセスを経験してみたいですね」

研究第二グループの白方 陽菜子さんは、加飾フィルムの実用化に向けた研究を行っており、フィルム成形品の物性評価を通じて得られた結果をもとに使用する配合の改良検討を進めている。

加飾フィルムとは、塗装の代わりにフィルムを使って加飾するもので、自動車部品などで使用される。同社にとっては新しい技術であり、数年先を見越しての研究開発となる。

「研究の大きな目的はカーボンニュートラルの実現です。フィルムの実用化に向けては、従来の塗装品と同じようなスペックを持たせる必要があります。数年間、検討しているテーマであり、課題が一つ解決したと思ったら、また次の課題が出てきます。なかなか思うように前には進みませんが、それが研究の大切さだと感じます」

白方さんにとって、新たなことにチャレンジできる研究は何より楽しいという。

「うまくいっていなかった試験で、合格の水準に達するとうれしくなります。研究職として今携わっている内容が実用化に向かうまで、この仕事に従事していきたいですね」

研究第二グループの平山 実夢さんも同じく加飾フィルムの基礎研究に携わっている。フィルムの物性や基材に対する成形性データを蓄積し、それぞれの関係性を整理したり、次のフィルムの研究につなげたりしていくのが仕事だ。

平山さんは、大学は理系だが、芸術大学の大学院出身。文化財修復の研究を進めるうちに顔料や塗料の研究に興味を抱き、同社に入社した。

「その色が化学的にどのような仕組みになっているのか。美術的な知識と科学的な知識がつながるところが好きですね。今の部署に異動して半年が経ちますが、覚えることや学ぶことがたくさんあります。いろいろなことを勉強しながら、日々の業務に取り組んでいます」

平山さんは、仕事は楽しく、のびのびやらせてもらっているという。研究職が大好きで、一日中データを見るのも苦ではない。

「先輩達は研究の道筋を立てていく能力がすごく高くて尊敬しています。私はまだまだ勉強が足りていないので、先輩達に追いつけるよう努力していきたいですね。また、研究していくなかで発生した不具合の原因が分かって改善点が見つかり、進捗があったときは数カ月がんばってよかったと感じます。それがやり甲斐につながっています」。

インタビュアー写真

前田 浩志
HIROSHI MAEDA
研究部
研究第二グループ長

インタビュアー写真

小川 将吾
SHOGO OGAWA
研究第二グループ

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森山 可菜
KANA MORIYAMA
研究第二グループ

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白方 陽菜子
HINAKO SHIRAKATA
研究第二グループ

インタビュアー写真

平山 実夢
MIU HIRAYAMA
研究第二グループ


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