キリンホールディングスのグループ企業である小岩井乳業は、2026年6月1日に創立50周年を迎えた。小岩井農牧の乳業事業部門が分離し、キリンビールとの共同出資(折半出資)によって1976年に誕生した。事業の原点となる小岩井農場の創業は1891年(明治24年)と長い歴史を持つ。小岩井農場は岩手山の南麓、盛岡市の西北12kmに位置し、総面積は約3,000ha。その3分の2が山林で、630haほどが耕作地、また中央部を「まきば園」とし、隣接の明治以来の牛舎地区と合わせて約40haを一般に開放しており、残りの面積が施設用地となっている。
「大地の恵みを大切に、お客様の「おいしい」「うれしい」の期待にこたえ続けます。」を経営理念に掲げ、小岩井乳業小岩井工場は、牛乳・ヨーグルト・バター・マーガリンなどの製造・販売を行っている。
アクセスは、JR盛岡駅からバスかタクシーに乗り直接向かうか、電車の場合はJR盛岡駅でJR田沢湖線に乗り換え、小岩井駅まで約13分。小岩井駅の最寄りのバス停からタクシーや車で向かう。バスの場合は小岩井農場まきば園が最寄りで、そこから小岩井工場までは10分程度歩くことになる。そのため、基本的にはタクシーで行くのが効率的かもしれない。
小岩井工場は、一般にイメージする工場の外観とは異なり、アカマツ林と緑の草原に調和した北欧風の赤い屋根が目印となっている。入り口ではホルスタイン牛の像が迎えてくれ、のんびりとしたアットホームな雰囲気を醸し出している。
小岩井工場の従業員数は協力会社を含め110名ほど(単独では約90名)。小岩井乳業の自社工場はほかに埼玉県狭山市に東京工場があり、小岩井工場は事業の原点となるマザー工場の役割を果たしている。働いている従業員のほとんどが地元に住んでおり、車での通勤が圧倒的多数だ。周囲が自然に囲まれているため、飲食店は小岩井農場以外にはほぼなく、平日の昼にのみ提供される社食を利用したり、自身でお弁当を用意したりする人が多い。
工場の雰囲気は、真面目で真摯にものづくりに向き合っている人が多く、役職で呼び合うことがほとんどない。工場長も「さん」づけで呼ぶように、確固とした上下関係がなく、働きやすく、過ごしやすい会社だという。
今回はそんな小岩井乳業が2026年10月6日より発売する新商品『小岩井 至福のクリームヨーグルトグルメファン 400g』の製造やマーケティングに携わる人達にフォーカスする。従業員の皆さんは、どんな仕事をしているのか。これから紹介していこう。
食品衛生、品質という部分はとても大事、
その前提となるのが食品の安全性です
小岩井工場副工場長兼総務部長の佐藤 武さんは、文字通り、工場の管理業務が仕事の中心だが、2026年4月に長く務めた東京工場から小岩井工場に赴任したばかり。
「東京出身で、まだ厳しい冬を越してないのでわかりませんが、豊かな自然に恵まれた小岩井農場のなかを車で走りながら通勤するため、今のところ『最高』という気持ちしかありません(笑)」
総務部として仕事をするのも、小岩井工場で仕事をするのも初めて。毎日周囲の人に教えてもらいながら業務を行っている。ここ小岩井工場は、小岩井乳業の原点の地であり、多くの乳製品を製造している工場であるため、今さらながら日々勉強しているものの、それがやり甲斐につながっている。
「ここでしか作っていない乳製品もありますし、ここ数年、小岩井工場も東京工場も毎年のように若い従業員が入ってくるため、場内は活気に満ちています。また、新たにヨーグルト棟など新棟群の建設が、足かけ3年くらいで進められています。安全性に間違いのない商品を作ると同時にリニューアルの過渡期でもあるため、大変ですが、原点の地の工場で働けることにやり甲斐を感じています」
とくにヨーグルトは成長しているジャンルだ。「夜のご褒美ヨーグルト」として新たな喫食シーンを提案する新商品『小岩井 至福のクリームヨーグルトグルメファン 400g』は2026年10月6日に発売予定で、小岩井工場で製造される。
長く製造現場で働いてきた佐藤さんが仕事上、気をつけていることは何だろう。
「あたりまえのことですが、食品でありお客様の口に入るものなので、食品衛生、品質という部分はとても大事にしています。その前提となるのが食品の安全性です。私だけでなく、工場で働いている皆が大事にしていることだと思います」
「小岩井」という名は乳製品商品のブランドとして確立されている。当然ながらブランドの基礎となる製造を担っているという責任感も強い。
「マーケティングの調査結果からも、品質がいいとお客様に感じていただいています。工場の皆がそれについて実感しており、責任感をもって仕事をしています」
佐藤さんは小岩井工場をさらに盛り上げていくために、どんなことを考えているのだろうか。
「安全であることは大前提として、多様なバックボーンを持った従業員がいるので、その人達が生き生きと働いてくれるような環境をつくっていきたい。また、ここはブランドの原点の場所なので、ブランドの価値をお客様に伝えられる拠点にしていきたいと思っています」
どんな困難があっても継続して発展できるよう、
小さいことから積み上げて、それを結果につなげていく
製造部の鈴木 稔広さんは、小岩井工場で生産管理、日々の製造工程の管理を行っている。
「仕事で気をつけているのは、機械の不調をはじめ、トラブルが発生したあとに正常化する際に、製品を出荷して大丈夫なのかどうかを確認すること。同じ現象が毎回起こることはないので、食品衛生や品質管理にはとくに気を使っています」
鈴木さんは岩手県出身。入社して小岩井工場に勤務し、施設部で機械いじりから仕事を始めた。その後、製造に移り、一度東京工場に赴任。3年前に小岩井工場に戻ってきた。
「地元でも昔からブランド力のある企業だと見られています。自分でもおいしいものをつくっているというプライドがあるかもしれません」
もともと料理をつくることが好きで、おいしい食品をつくりたいと小岩井乳業を志望した。現在の業務に就いて半年程度だが勉強の毎日。そのためか、今は日々の業務が試練という状況だ。
「年齢とともに仕事のグレードは上がっていきます。若いときは自分のやった仕事が成功したときがうれしかったのですが、今は指導する立場となり、いかに組織としてうまく製品をつくることができるのか。指導がうまく伝わって、若手が成長したことを感じるときが何よりもうれしいですね」
鈴木さんはヨーグルト製造に長く携わっており、そのノウハウを若手に伝えるべく、新商品『小岩井 至福のクリームヨーグルトグルメファン 400g』の製造にも深くかかわる。
「ヨーグルト製造を担う一人として、相応のプレッシャーがありますが、今回の新商品はぜひ成功させたいと考えています」
今年50周年を迎えた同社で、次の50年へ進む意気込みを鈴木さんはこう語ってくれた。
「2011年の東日本大震災からがんばって復活してきた経験もあり、どんな困難があっても継続して発展できるようにしていきたい。小さいことから積み上げて、それを結果につなげていきたいと考えています」
マーケティング部の天野 美羽さんは普段、東京本社に勤務しており、『小岩井 生乳(なまにゅう)100%ヨーグルト』『小岩井 生乳だけで作った脂肪0(ゼロ)ヨーグルト』『小岩井 プレミアムクリームヨーグルトグルメファン』などヨーグルトのマーケティングを担当している。
「入社したのが2020年でちょうどコロナ禍のとき。京都出身で入社研修などはリモートで行われたため、当初は東京に出る機会に恵まれませんでした。動き出したのは6月以降。最初は営業を担当していて、その後、マーケティング部に配属になりました」
仕事では、どのような施策や、新しい商品が必要か。さまざまなデータやお客様の声などをもとに仮説を立てながら、企画を練っている。そんな天野さんが仕事として、やり甲斐を感じるのはどんなときだろう。
「ここ最近はキャンペーンでお客様と直接触れ合う機会があります。自分達が届けている商品が日々家庭のなかにあり、『小さい頃から子どもが食べているんです』といった声を聞くと、家族のだんらんに貢献できていることが実感でき、とてもうれしく感じられます」
歴史のあるブランドだからこそ、これまで培ったイメージを保ちながら新たな挑戦を続けていく両軸の意識が欠かせないという。2026年10月6日からは新商品である『小岩井 至福のクリームヨーグルトグルメファン 400g』が発売される。天野さんは担当として新商品にかける意気込みを次のように語る。
「従業員でもこのヨーグルトのファンが多くて、もっともっとお客様に知っていただきたい。自然の味わいを大切にした高品質な商品だからこそ、お客様の日々の生活をより豊かにできる可能性があると考えています。製造方法を変えてよりおいしくなっていますし、『夜のご褒美ヨーグルト』として新たな喫食シーンを提案しており、多くのお客様に楽しんでいただきたいと思っております。今後も可能性を広げられるよう、さまざまな挑戦を大切にしていきたいと考えています」
佐藤 武
TAKESHI SATO
副工場長兼総務部長
鈴木 稔広
TOSHIHIRO SUZUKI
製造部
※2026年8月取材時
天野 美羽
MIU AMANO
マーケティング部
マーケティング担当