
EV充電設備やEV向け電力プラン、補助金……情報がバラバラで何をどう導入すればいいか分からない、と困っている個人ユーザーや企業の担当者も多いのではないだろうか。これらEV関連の商品・サービスやEV導入に関連する情報を、メーカー・車種を問わずワンストップで包括的に提供するオンラインプラットフォーム「イブニオンプレイス(EVNION PLACE)」が2024年10月にローンチ。個人・法人双方のユーザーから好評を得ている。
運営しているのは、三菱ふそうトラック・バス株式会社(以下「三菱ふそう」)、三菱商事株式会社(以下「三菱商事」)、三菱自動車工業株式会社(以下「三菱自動車」)の3社が共同で設立した新会社、イブニオン株式会社(以下「イブニオン」)。同社の代表取締役副社長を務める小島 久永さんがサービスの特徴や今後の展望について語った。

社名はEVを取り巻く全てのモノやヒト、コトを「つなぐ」プラットフォームとなることを目指す「EV + UNION(団結、つながり)」を意味する造語
イブニオンプレイスにアクセスすればEV導入・活用に関する悩みや疑問が解消
イブニオンプレイスは、EV関連商品・サービスを提供する「マーケットプレイス」、EV導入・活用に役立つ「記事・コラム」、EVが実現する社会を紹介する「EVで広がる新生活」などを中心としたコンテンツで構成されている。小島さんによれば、イブニオンプレイスが好評を得ている特徴は大きく4つあるという。
「第一に、分かりやすさと使いやすさ。初めてEVを購入される方は充電器選びなどに戸惑うことも多いと思いますが、イブニオンプレイスには、お客さまの状況に合わせて最適な商品・サービスをご紹介するコンフィギュレーター機能を搭載しており、おすすめのEV充電器や電力プランなどを一元的に比較し、オンラインで申し込みができます。第二に、幅広いニーズに対応できる商品・サービスのラインアップです。ご家庭向けのEV充電器はもちろんのこと、法人のお客さま向けには、太陽光発電や定置用蓄電池、各種コンサルティングサービスなど、脱炭素目標達成のためのソリューションもご用意しています」

初めて導入する人にも分かりやすい「イブニオンプレイス」
第三は、高い評価を得ている法人向けのコンシェルジュサービスだという。
「専任のコンシェルジュが法人のお客さまのご要望や、EV導入状況、稼働状況をヒアリングした上で最適な充電ソリューションや設置業者を無料でご提案いたします。第四は、豊富なEV関連の情報・コンテンツの提供です。充電インフラの基礎知識から補助金に関する情報、EVの有効活用方法まで、EV利用者にとって必要な情報を中立的な立場から発信しています」
サイトには「EVとは?」「EVを『充電できる場所』は?」「EVにかかる『コスト』は?」といった初歩的な解説記事も網羅されており、初めてEVを導入するユーザーにとって親切な内容となっている。ユーザーから「イブニオンプレイスにアクセスすれば、EVに関する疑問が解消される」という声も届いているという。

3社が連携することで幅広いノウハウを持つ最適な集団に
小島さんは三菱自動車に入社。2003年、トラック・バス部門が独立して三菱ふそうが設立されたことに伴い三菱ふそうに移籍し、海外マーケットマネージメントや小型EVトラック「eCanter」の商品計画責任者などを歴任した。2022年からは三菱商事に出向し、イブニオン設立の旗振り役に。すなわち、三菱自動車、三菱ふそう、三菱商事の3社すべてに関わりを持ち、プロジェクト成功に向けて3社間を取り持ったキーパーソンである。現在はデジタルマーケティングなどこれまでのキャリアとは異なる新しい業務に挑みつつ、将来のEV市場拡大を見据え、先手を打って事業基盤を確立することに大きな意義を見出しているという。
「三菱ふそうは2017年に初代eCanterを発売し、商用EVトラックの分野で多くの知見を蓄積してきましたが、一方で充電分野など車両以外のサービスを一社だけで展開していくことは難しいという課題も感じていました。幅広い業種とのネットワークを持っている三菱商事、B2Cに向けたEVの知見が豊富な三菱自動車と連携することで幅広いノウハウを持つ最適な集団となったと自負しています。EV市場は国内ではまだ成長途中にあり、多くのプレイヤーが課題を抱えていることを改めて認識しています。だからこそ協力できる部分も多く、ともに新たな価値を創造できる可能性を感じています」
パートナー企業が増加、今後もサービス、機能を進化させていく
サイトオープンから半年。認知度をさらに向上させるべく、EV販売現場などでも周知に務めているほか、アンケート調査などを通してユーザーインターフェースの改善に日々取り組んでいる。現在はパートナー企業や商品・サービスのラインアップは倍以上に増加。問い合わせや見積もり依頼も着実に増えている。今後もパートナー企業を増やし、サービスと商品ラインナップの拡充を強化していく。
「将来的には複数のパートナー企業の商品やサービスを組み合わせたパッケージ商品などのご提供を目指しています。ユーザーにとって分かりやすく使いやすいプラットフォームでありたい、と常に意識しており、より高度なコンフィギュレーター機能の開発などを通して、目的のサービスや情報にすぐにアクセスできるよう、ユーザー体験の向上に注力してまいります」

マーケットプレイスでは、家庭用・ビジネス用それぞれに適した商品・サービスを紹介
イブニオン株式会社
神奈川県川崎市中原区大倉町10
2024年6月6日設立。株主は三菱ふそう35%、三菱商事35%、 三菱自動車30%。さまざまなパートナー企業と連携し、イブニオンプレイスを通じて、自家用・ビジネス用問わず、EV導入・運用に最適なソリューションを提供。より多くのお客さまへEVに関するサービスや情報を提供することで、モビリティの電動化を加速させ、日本の2050年カーボンニュートラル実現やDX(デジタル・トランスフォーメーション)へ貢献。
INTERVIEWEE

小島 久永 HISANAGA KOJIMA
イブニオン株式会社
代表取締役副社長 兼 最高執行責任者