 
							新型店舗「三菱UFJ銀行品川駅前支店高輪出張所(エムットスクエア高輪)。
三菱UFJ銀行が新型店舗を出店する。あわせてメタバース空間を利用し、新店舗への誘導や金融イベントなども開催していく。その狙いとは?
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の中核である三菱UFJ銀行は顧客タッチポイントの拡大を図るため、約20年ぶりに個人向けサービス提供に特化した新型店舗「三菱UFJ銀行品川駅前支店高輪出張所(エムットスクエア高輪)」を2025年9月に開設した。出店場所はJR高輪ゲートウェイ駅直結の「ニュウマン高輪」。新型店舗はコンパクトなスタイルで、ショッピングや通勤、通学、外食などのついでに気軽に立ち寄れる。お客さまの生活により近い存在である銀行店舗を目指していく。
これまで同行では、コロナ禍やデジタル時代の到来により、対面形式の店舗は縮小傾向にあったが、資産運用のニーズが高まっていることを受け、ポジティブな方針に転換。これまでの駅前支店のようなスタイルではなく、柔軟で機動的に生活者の導線上に入っていけるよう、商業施設内に店舗を構えることにした。高輪ゲートウェイはJR東日本が総力を上げて開発に取り組んでいる一帯であり、ゼロから街を築き上げていくという狙いもある。
三菱UFJ銀行の品川駅前支店高輪出張所長の鏡 美和さんは次のように語る。
「これまで銀行というとハードルが高くて相談がしにくく、用事がないと立ち寄れないイメージがありました。しかし、新店舗では当行をより身近に感じてご利用いただけるような、楽しさと学びを融合した新たなスタイルの店舗を運営していく予定です」
                              デジタルチャネルを駆使し
								より気軽に相談できる店舗を実現
                            
                         
							新店舗での接客風景。窓口は設置されないが、ライフブランに関する各種相談やイベントの開催などを行う。
新店舗は個人のお客さま専用の店舗として、アプリやタブレットなどデジタルチャネルによる事務手続きのサポートを実施、より気軽に相談できる環境を整えている。また、金融以外のイベントの実施も計画するなど、オープンで入りやすい店舗デザインを採用している。通常支店とは異なり、営業時間も夕方(18時まで)および土曜・祝日に拡大。平日や日中に銀行へ行くことが難しい現役世代や子育て世代のお客さまにも利用しやすい店舗を目指した、同行では初めての店舗運営スタイルとなる。
「高輪出張所では窓口がなく、ナチュラルテイストの店舗デザインで、大きなテーブルからタブレットを使って受け付けをしていただき、ご案内をするようになっています。金融の枠組みを超えて、お子さまから大人までワクワク楽しめるようなイベントも用意しています」(鏡さん)
新店舗では、資産形成・資産運用・住宅ローンなどライフプランに関する各種相談を中心に、新規口座開設、一部の事務手続き、イベント・セミナーの開催を行っていく。なお、基本的に現金の取り扱いは行わない。同行カスタマーサービス推進部リアルチャネルグループ(取材当時)の鈴木 悠香さんはこう話す。
「店舗は銀行のタッチポイントとして重要。一方で、重苦しくなく、気軽に入ることができる、柔軟で多様なタッチポイントをいろいろなところに置いておきたい。ネット銀行とは異なり、対面ならではのリアルな価値を提供していきたいと考えています」
                               メタバース空間で
新たな金融体験も提供
                            
                         
							「三菱 UFJ銀行メタバース」の空間イメージ。
またこの取り組みに先駆けて、新しい形の金融体験の提供と顧客接点の創出を目的に、「三菱UFJ銀行メタバース(MUFG Bank Metaverse)」も開設した。高輪出張所と連携し、金融に関するさまざまな情報発信や、メタバース空間ならではの特性を生かしたコンテンツを提供していく。同行カスタマーサービス推進部リアルチャネルグループの中邨 あゆみさんが述べる。
「コンセプトは『もっと、気軽に金融体験を』。高輪のリアル店舗と連動している取り組みとなり、新店舗への期待感の醸成、そして新しい金融体験の提供をおもな役割としています。メタバース体験によって銀行への来店・相談のハードルを下げ、実店舗で具体的な相談をするきっかけになればと考えています」
三菱UFJ銀行メタバースでは、メタバース空間そのものや展示物の鑑賞、アバター行員とのバーチャル相談、ゲーム体験などができる。空間内では金融に限らないさまざまなイベントに加え、新型店舗との連携イベントの開催も予定している。メタバースはTOPPAN株式会社が提供するバーチャルモールサービス「メタパ®」を採用。アプリや会員登録の必要はなく、URLをクリックして、すぐに入ることができる。
 
									 
									セミナールームでは、くらしに役立つ情報発信をするイベントが開催される。(右)
メタバース空間では、店舗・エンタメエリア・セミナールームをそれぞれ体験でき、レトロな店舗外観から店舗内に入ると、高輪出張所を模した現代の空間が広がる。伝統を大切にしながら新しく変わっていくMUFGらしさを感じられるよう、メタバースならではの世界観を楽しめるようになっている。
また、迷路空間やクイズなどのゲーム体験ができるほか、三菱UFJ銀行の商品パンフレットや案内動画、各種コンテンツの案内パネル、銀行が保有するアートのデジタル展示もしている。さらに店舗内の応接室では、アバター行員とバーチャルで面談でき、プライバシーが守られた空間でお金に関する一般的な質問、相談などが可能となっている。なお、相談はすべて匿名、事前予約制となる。高輪出張所を取り仕切る鏡さんはこう抱負を語る。
「金利のある時代が再び訪れ、資産の見直しや資産形成へのニーズも高まっています。しかし、誰に相談すればいいのか分からない、忙しくて時間がとれないというお客さまも多くいらっしゃいます。今回の取り組みを通じて、全世代の金融リテラシーを高め、お客さまの人生を豊かにするお手伝いをしていきたいと考えています。それが、資産運用立国の実現に向けた社会全体への貢献にもつながると信じています」。
三菱UFJ銀行品川駅前支店高輪出張所HP
(メタバースもこちらから)
	https://www.bk.mufg.jp/lp/new_stores/takanawa/index.html 
INTERVIEWEES
 
								鏡 美和 MIWA KAGAMI
                                    出張所長
品川駅前支店高輪出張所
                                
 
								鈴木 悠香 YUKA SUZUKI
                                    調査役
									カスタマーサービス推進部リアルチャネルグループ(取材当時)
                                
 
								中邨 あゆみ AYUMI NAKAMURA
                                    調査役
									カスタマーサービス推進部リアルチャネルグループ
                                
三菱UFJ銀行
1919年8月設立。国内最大級の総合金融グループMUFGの中核銀行。資本金1兆7,119億円、従業員数は31,756名、支店は国内421、海外104(2024年3月末現在)。MUFGは東京、名古屋、ニューヨークの各証券取引所に上場している。傘下には三菱UFJ銀行ほか、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJ証券ホールディングス、三菱UFJニコス、三菱UFJアセットマネジメント、アコムなどを持つ。東京・丸の内にある本店ビルは建て替え中で、2030年の竣工を目指している。
 
								 
								 
								