三菱オートリースは独自の車両管理スマートフォンアプリ「MAL mobi(マルモビ)」を開発し、2025年2月に提供を開始した。社用車を管理するうえでのさまざまな課題のソリューションとなるこのアプリ。そこに込められた思いを三菱オートリース 営業戦略・機能開発部の石ケ原 豊さんと、同じく営業戦略・機能開発部の稲葉 陽平さんに聞いた。
「覚悟」を持って取り組んだMAL mobiの開発
「MAL mobiは、三菱オートリースがあらゆるモビリティサービスを提供するために、お客さまと三菱オートリースをつなぐ重要なインターフェースになると考えており、このサービスによってお客さまに貢献、ひいては社会全体に貢献するという“覚悟”を持って取り組む必要がありました」
そう振り返るのは、開発プロジェクトを牽引した石ケ原さんだ。「将来のデジタル化を考えたときに、今こそこのアプリを開発すべき」という強い意志のもと、立案から2年の月日をかけてこのMAL mobiを完成させた。MAL mobiを使えば、社用車の予約、アルコールチェック、日常点検記録、運行日報記録など、これまで紙や複数のデータファイルで行っていた煩雑な作業をスマートフォンひとつで行うことができる。
稲葉さんは常にユーザー目線で開発に携わってきた。当初は予定していなかった機能が追加になるなど、想定外のできごとが発生した際には、パートナー会社との調整に尽力。プロジェクトメンバー全員とともに「お客さまにとって最適なサービスとは何か」を考え抜いて困難を乗り越えた。
「MAL mobiの開発には複数の開発パートナーさまが携わってくださっています。遠方にある会社もいらっしゃるので、我々はリモート会議を重ねて開発を進めてきました。それまではリモート中心でプロジェクトを進めた経験がありませんでしたが、複数の開発パートナーさまとの円滑で横断的なコミュニケーションの実現に大いに役立ち、私にとっても弊社にとっても画期的なことでした」(稲葉さん)
部署横断シェアリングが手軽になるデジタルキー、アルコール検知器とも連携
お客さまのために、社会のために。その思いの結実とも言えるMAL mobi。すべての操作は画面遷移に従って進めるだけ。「分かりやすい」とユーザーからも好評だ。MAL mobiに入力した運行情報は、すでに三菱オートリースが車両管理者向けに展開しているWebサービス「MAL portal(マルポータル)」と連携しており、業務の効率化だけでなく、車両稼働状況の可視化も実現した。
さらに、ほかのオートリース会社の車両管理アプリにはない機能として「デジタルキー」がある。これは、車の鍵の開閉をすべてアプリ上でできるようにしたもの。この機能と予約機能を組み合わせることで、キーの受け渡しの手間が省け、部署を横断しての社用車シェアリングが手軽にできるようになり、車両台数やコストの削減が可能になる。これはMAL mobiならではの機能だ。
加えてアルコール検知器とも連携し、アルコール基準値を超えた場合はデジタルキーが解錠されない仕組みによって、飲酒運転の抑止を支援する。MAL mobiから登録したアルコールチェックの結果は自動でMAL portalに記録されるため、コンプライアンス強化にも大きく貢献する。
「弊社は三菱グループを代表するオートリース会社として、グループ企業の車両管理も多く担当させていただいています。MAL mobiのシステムの仕様として、弊社とリース契約を締結いただいているすべての車両の情報がシステムに自動的に登録されるため、わざわざ車両情報を更新する必要がなく、快適にMAL mobiをご利用いただけます。この点が三菱グループの皆様にとって大きなメリットになると考えています」(石ケ原さん)
デジタルキーによる施錠・解錠やアルコールチェックなど、社用車の手続きをタップ操作だけで完了できる。
進化し続けるMAL mobi、DX戦略の柱としての期待も
提供開始から約9カ月。開発当初は既存顧客を中心に提供するサービスを想定していたが、実際にはMAL mobiを通じて三菱オートリースのことを知り、初めてのリース契約につながるという期待以上の効果があった。また、MAL mobiに入力されたデータを活用して、ユーザーの利用状況に応じた提案を行うなど、新たなビジネスの可能性も見込まれている。
「データ活用によりお客さまの課題解決に貢献する点においてはまだ発展の余地が大きく、三菱オートリースのDX戦略の柱となるツールとしても期待しています」と石ケ原さんは語る。
「車両管理でお悩みの管理者様もドライバーの皆様も、ぜひお気軽にMAL mobiを体験してみてください。体験いただければ、きっとこのアプリの便利さがお分かりいただけると思います」(稲葉さん)
「弊社は三菱グループを代表するオートリース会社であると自負しております。モビリティにかかわるお困りごとや課題がございましたら、ぜひ三菱オートリースの知見を頼っていただきたいと考えております。MAL mobiやMAL portalをはじめ、あらゆるソリューションをご提供することで、お客さまの課題解決の一助となれるよう努めてまいります」(石ケ原さん)
ユーザーからは機能追加への期待が寄せられており、厳罰化が進むとされる法令改正も踏まえ、より便利で快適なアプリにすべく今後もアップデートを続けていくという。
INTERVIEWEES
石ケ原 豊 YUTAKA ISHIGAHARA
営業戦略・機能開発部 営業機能開発課
稲葉 陽平 YOHEI INABA
営業戦略・機能開発部 営業機能開発課
三菱オートリース株式会社
1972年設立。自動車にかかわる車両調達・税・保険・運行/安全管理・メンテ保守などの管理業務を広く受け持つ。また、時代の変化やお客さまのニーズの変化に合わせて、モビリティサービスを通じた最適なソリューション・付加価値を提供。お客さまに自動車に関する手間をアウトソースしていただき、最適な車両管理サービスを提供することで、人とモノの移動を支え、自動車産業の一部を担う。