各社のトピックス

2025.12.25

三菱地所

MITSUBISHI ESTATE CO., LTD.

三菱地所が「まちまるごとワークプレイス構想」で新規事業創出を加速!
350団体が参画する大企業コミュニティ「TMIP(ティーミップ)」の展開力とは?

個社では実現しにくい取り組みを丸の内エリア全体で提供する「まちまるごとワークプレイス構想」を推進している三菱地所。今年度、同社が運営し、オープンイノベーションを促すプラットフォーム「TMIP」を軸に、複数企業の共創による実証実験を企画・推進する取り組み「まちまるごと実証実験by TMIP」が始動した。その狙いとは何か。

三菱地所では現在、丸の内エリア(大手町・丸の内・有楽町)全体をプラットフォームとして捉え、個社単独では実現しにくい取り組みをエリア全体で提供していく「まちまるごとワークプレイス構想」を推進中だ。

丸の内エリアの特性のひとつは、135年以上にわたるまちづくりを通して、多くのステークホルダーとともに築き上げてきた「利便性と集積」にある。その特性をふまえ、テナント企業が自社オフィスだけでは実現できないことや、個別企業の取り組みではなかなか実現しにくいことを「まちまるごと」でサポート、エリア全体をプラットフォームとして機能させ、コワーキングスペース、ラウンジ、休養室といったオフィスに求められる機能を提供するほか、企業や人の交流、イノベーション創出まで、働き方の質や事業成長を高めていく狙いがある。

135年のまちづくりによって培われた利便性と集積。

同社では今、自ら変化を生み出し、次の時代の価値創造を実現するためのビジネスモデルの革新を目指し、スタートアップなど多彩なプレイヤーとのオープンイノベーションに取り組んでいる。国内外のスタートアップやベンチャーキャピタルへの出資や、同社グループのアセットを生かしたスタートアップの成長支援や協業・事業共創の推進のほか、大企業の新事業創出支援などを通じてイノベーションエコシステムの構築を図っている。同社イノベーション施設運営部 プロモーション・エコシステム推進ユニット TMIP事務局の大淵 鮎里さんは次のように語る。

「丸の内エリア全体として、新たな働き方や価値観が生まれていくなかで、私達が何を提供できるのか。まちの持続性という観点からも、大企業だけでなく、スタートアップやベンチャーキャピタル、アカデミアといった多様なプレイヤーに集まっていただきたい。イノベーションエコシステムを構築することで、丸の内エリアを企業の垣根を越えて交流し新たな価値を創出する“チャレンジできる”まちにして行きたいと考えています」

「まちまるごと」だからこそ提供できるサポート。

大企業新規事業担当が参加
350団体超集まるTMIPとは?

この「まちまるごとワークプレイス構想」の「イノベーションフィールドと成長」で原動力になっているのが「TMIP」だ。オープンイノベーションプラットフォーム「Tokyo Marunouchi Innovation Platform」の略で、大企業の新規事業創出支援や大企業とスタートアップ、産・官・学・街との連携で事業創出を目指す。

丸の内エリアのイノベーションエコシステム形成に向け、TMIPは会員やパートナーを含め、参加企業は350団体以上を数える。参加は法人単位となり、大企業ではおもに新規事業担当者が多く集まる。また会員はテナント企業や三菱グループには限定しておらず、多くの企業が参加しており、大企業との実証を見据えたスタートアップもコミュニティに参加することができる。

「丸の内エリアでの有機的なつながりをつくるため、2019年からこの取り組みをスタートしていますが、大企業の新規事業担当者がこれほどの規模で集まっているコミュニティは国内でも珍しく、多くの大企業やスタートアップの方々に注目いただいています」(大淵さん)

TMIPコミュニティ、企業一覧はこちら(https://www.tmip.jp/ja/community/members )。

TMIPでの事業創出は、350団体の知見が集まるTMIPコミュニティが基盤だ。大企業・スタートアップを中心とした「会員」のほか、まちづくり団体・ベンチャーキャピタル・アカデミア・行政機関などの「パートナー」、事業創出サポートを行う「メンター」や最先端の知見を有している専門家で構成している「アドバイザリーボード」から構成されている。
会員限定の交流イベントを起点に、新規事業の創出・検証・社会実装まで事務局がチームの一員として伴走支援をしている。

丸の内エリアで実証実験をすることで
見えてくる新規事業の課題や新たな価値

現在、TMIPプログラムのひとつとして、丸の内エリアにおける複数企業の共創による実証実験を企画・推進する取り組み「まちまるごと実証実験by TMIP」を実施している。これは、TMIPコーディネートのもと、丸の内エリアが有するアセットを活用し、複数企業の共創による実証実験によって共創プロジェクトを加速させる取り組みで、丸の内エリア全体で提供するワークプレイスや企業集積を活用した事業検証で社会実装を目指している。

まちまるごと実証実験byTMIPのサポート

「複数の企業をスピーディに巻き込みながら、必要なプレイヤーを集めてチームをつくり、実証実験の座組みをつくっていく。まさに丸の内エリアを舞台にリアルな検証の場を提供していくことが特徴となっています」(大淵さん)

その第1弾として、NTTドコモグループの新規事業創出プログラム「docomo STARTUP®」からスピンアウトしたスタートアップ、株式会社coordimate(東京都渋谷区)との共創プロジェクトを2025年9月より開始している。実証実験のフィールドは、同社が運営するビジネス支援型シェアオフィス(EGG、0 Club、Inspired.Lab)で、ビジネスシーンにおける服選びをスマートかつ最適にすることを目的としている。coordimateが展開する「プロスタイリスト×テクノロジー」を軸にしたファッションアプリを使用し、約3カ月にわたり検証を実施する。

実証実験では、スマートミラーによるスタイル診断や、アプリ上での簡易ヒアリングをもとに、プロスタイリストから最適なコーディネート提案を受けることができる。さらに、提案されたコーディネートはそのまま注文することも可能だ。

ほかにもTMIPでは多くの共創プロジェクトを実施している。たとえば、新丸ビルを活用したAGCの新製品の市場探索をはじめとした大企業の新規事業実証のほか、大企業×スタートアップ×自治体による空間VR観光イマーシブコマース実証、最新テクノロジーを活用した実証も行っている。また公道における実証実験として、日本初の新事業特例制度を用いた電動キックボードの公道走行による実証実験などの実績も持つ。同じく事務局を担当している同社イノベーション施設運営部プロモーション・エコシステム推進ユニットの中川 果南さんはこう言う。

「TMIP会員からは実証フィールドとしてのニーズが高く、リアルなまちだからこそ課題や新たな価値が見えてきたとおっしゃっていただけます。今回始動した『まちまるごと実証実験by TMIP』を活用いただきながら、さまざまな事業領域の皆さんが会社の枠を越え、共創によって社会課題の解決を目指したいと考えています」

今後、「まちまるごと実証実験by TMIP」では、実証テーマとして、「働き方」「健康」「モビリティ」「サステナビリティ」など、まちを事業成長のフィールドとした取り組みを展開していく予定だ。丸の内エリア内のワークプレイスや企業集積、TMIPの知見・アセットを有機的に連携させ、まちを舞台に社会実装を目的とした共創プロジェクトを加速させていく。

同社では実証実験で得られた知見を基盤とし、参加企業間の連携体制をさらに深化させることで、丸の内エリアにおけるオープンイノベーションの促進と共創事例の創出に一層注力し、多様な主体が共創するまちづくりを目指していく。

「丸の内エリアに集まる35万人の就業者と5,000の事業所、さらに新規事業創出を目指す350団体参画のTMIPを掛け合わせると、可能性は無限大です。新規事業には正解がないからこそTMIPではさまざまな共創事例や手法を紹介することで新たな事業の閃きやヒントに繋がるプラットフォームでありたいと考えています。今後も多様なプレイヤーとの連携や共創を『まちまるごと実証実験 by TMIP』を通じて一緒に挑戦してまいります」(中川さん)

INTERVIEWEES

インタビュアー写真

大淵 鮎里  AYURI OFUCHI

イノベーション施設運営部
プロモーション・エコシステム推進ユニット/TMIP事務局

インタビュアー写真

中川 果南  KANA NAKAGAWA

イノベーション施設運営部
プロモーション・エコシステム推進ユニット/TMIP事務局

三菱地所株式会社

東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビル
1937年5月設立。オフィスビル・商業施設・ホテル・物流施設などの開発、賃貸、国内外での収益用不動産の開発、販売などを手掛ける。従業員数は単体:1,093名 連結:1万1,045名。現在、2026年夏に完成予定の「大手町ゲートビルディング」や東京駅日本橋口前の常盤橋街区に、高さ日本一となる予定の地上約390mの超高層ビル「TOKYO TORCH Torch Tower(トーチタワー)」などの開発が進行中。

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