各社のトピックス

2026.02.05

三菱化工機

Mitsubishi Kakoki Kaisha, Ltd.

世界を循環型社会に変える“ENERGY創発特区”へ!
川崎発「MKKプロジェクト」を推進する三菱化工機の挑戦

三菱化工機が、新たなイノベーションを目指して「MKKプロジェクト」を推進している。川崎から世界へ、クリーンなエコシステム構築を目指す同社のチャレンジの中身とは。

三菱化工機は同社と共創パートナーによる環境対応・創エネルギー技術を活用した、川崎発の社会課題ソリューションの創出を目指す「MKKプロジェクト」を2025年7月から本格スタートさせた。教育・スポーツ・食・医療・環境など、多様な分野のパートナー企業や団体と連携することでさまざまな社会課題に対する根源的な解決に挑む。モノ(技術)、コト(ビジネス)、ヒト(ノウハウ)が創発し合える「場と機会」を提供するなかで、真の循環型社会の実現へ向けた次世代技術の開発と社会実装を促進させる狙いがある。

「MKKプロジェクト」は、世界を循環型社会に変える“ENERGY創発特区”をつくるという目標のもと、三菱化工機の本社のある川崎から世界へ向けて、「技術」による“エネルギー”と「ヒト」による“エナジー”を結びつけ創発させることで、未来へ循環する、世界を突き動かす新たな“Energy”を生み出していく。川崎という場のエネルギーが創発し合うことで、新たな事業やイノベーションを生み出すエネルギー循環構造を目指す。

2035年に100周年を迎える三菱化工機は、「持続可能な発展に挑戦し、快適な社会を実現する」というビジョンのもと、顕在化していないニーズや市場に対し、自分達の環境対応・創エネルギー技術を活用することで、既存のビジネスやサービスと差異化しつつ、具体的かつ新たなビジネスモデルをパートナーとともにデザインしていくことを目指している。「MKKプロジェクト」の発案者で同社常務執行役員の林 安秀氏は次のように語る。

「イノベーションによって、三菱化工機という会社をもっと変えていきたいと思っています。そして、我々の会社をもっと世のなかの皆さんに知っていただきたい。そのひとつの解が『MKKプロジェクト』になります」

プロジェクト構造イメージ。

2030年の開業を予定している
「Kawasaki Arena-City Project」にも参画

三菱化工機は川崎で創業し、日本の化学工業の発展に寄与しながら、産業機械、石油、水素など多岐にわたる領域で、時代のニーズに合わせた装置・設備の設計や製作を請け負って、実績を残してきた。2021年にはカーボンニュートラル時代に向けて同社のあるべき姿を描いた「三菱化工機2025経営ビジョン」を策定、「水素を核としたクリーンエネルギー事業」など4つの事業領域を展開するなど、大きな変革を進めており、「MKKプロジェクト」もそのひとつとなっている。

「パートナーと共創しながら新たなイノベーションを起こすには、アジャイルに動くことが必要です。しかし、これまで社名と企業規模の大きさ、歴史によって、かえって舵を切りにくかった。そこであえてMKKiという別会社をつくり、MKKプロジェクトの司令塔として、他社とコラボレーションしやすくしたのです」(林氏)

三菱化工機では「MKKプロジェクト」の一環として、2030年の開業を予定している「Kawasaki Arena-City Project」にも参加している。同社は川崎市やDeNAなどとの協業を進めており、新アリーナは同チームのホームとなるとともに宿泊施設、飲食施設、アート空間、公園などを備えた複合エンターテインメント施設が誕生する予定だ。同社は、アリーナで出た食べ残しなどをエネルギー化の原料として施設内で循環、あるいは植物工場を設置し、CO2ニュートラル、またはCO2マイナスになるよう世界最先端の環境にやさしいアリーナを目指していく。林氏もこう述べる。

「当社の技術があれば、クリーンエネルギーである水素を使って、CO2を出さずにアリーナの電力を供給することができます。しかもその水素が、バイオガスなど自然由来のグリーン水素であれば、地球環境にかかる負担も軽減できます」

ほかにもフードテックで生産した果物や野菜をレストランの食材にすることで、電力以外の部分でもCO2を削減したり、これまで焼却や埋め立てで処理されていたゴミから水素を生み出したりするなど、完全循環型のアリーナを目指している。

川崎から世界へ向けてエコシステムを
MKKプロジェクトは壮大な実験

一連の推進役を担っている林氏はもともと三菱UFJ銀行の執行役員だった。2025年に同社の常務執行役員に就任し、企業変革に取り組んでおり、現在は「MKKプロジェクト」を指揮し、同社の技術を活用した6つのプロジェクトを推進中だ。

その6つのプロジェクトは
・水素吸蔵合金の用途開拓、水素サプライチェーン構築
・食の循環型社会構築の共同研究
・再生エネルギーの循環型システム構築
・地元廃棄物の再利用(たい肥化・バイオマス燃料化など)、複数地元企業による連結ブランド商品開発
・熱電発電技術のプロトタイプ開発と社会実証実験の実施
・地熱エネルギーの利活用による完全地域循環モデルの検証、地域創生・循環モデル事業(ブランド商材等)の企画開発
・食環境整備による発育状況(体づくり、けが予防、パフォーマンス向上など)の検証と提供サービス事業化の検討
となる。これら複数のプロジェクトを同時進行させ、実現に動いている。

そのひとつとして2025年10月には「川崎市、元祖ニュータンタンメン本舗と協業した“水素|ノー炭炭(タンタン)メン”プロジェクト」をスタートさせた。川崎のソウルフードである「元祖ニュータンタンメン本舗」を脱炭素化させようという前代未聞のプロジェクト。脱炭素を学ぶ一人の学生の「麺を茹でるエネルギーをガスから水素に置き換えれば、CO2を排出せずにラーメンを作れるのではないか?」という発案から、川崎市をはじめ各方面を巻き込んでプロジェクトが始動した。同社企画部主席の山田 宏一氏はこう語る。

(左)水素調理機器の開発の様子。
(右)ミーティングの様子。

オリジナルロゴをオマージュした新ロゴを開発。水素を活用することでCO2を発生させないことを表現。

「世間では、水素がどのような用途で活用されているのか認知されていないのが現状です。そのため、皆さんにとって身近なところから自社事業も含めて認知度を上げていきたいと始めたものです。また、我々の技術をただPRするだけではなく、技術を活用して新たな用途開拓、パートナー開拓をしていきたいと考えています」

そのほかにも上智大学とともに、「フード×エネルギーのサーキュラーエコノミー化」をテーマとした社会連携講座を2025年10月に開設し、来春には上智大の学生によるビジネスピッチコンテストも予定している。林氏はこんな抱負を述べる。

「まずは川崎という街のなかで、三菱化工機を有名な会社にしていきます。そして、かつて公害で苦しんだ川崎から、世界へ向けてクリーンなエコシステムを発信していきたい。そのうえで、ステークホルダーの関心を高め、しっかりとした市場評価を得られる会社にしていきたいと考えています。何事もやってみなければ分かりません。『MKKプロジェクト』はその壮大な実験です。変わりつつある三菱化工機にぜひ関心を持っていただければと思っています」

INTERVIEWEES

林 安秀(右)  YASUHIDE HAYASHI

常務執行役員
イノベーション推進担当

山田 宏一(左)  KOICHI YAMADA

企画部
主席

三菱化工機株式会社

神奈川県川崎市幸区堀川町580ソリッドスクエア東館
1935年三菱各社の出資により化学工業用機械国産化のために化工機製作株式会社として創立。製品第1号はオートクレーブ(反応釜)。現在は、プラント・環境設備の建設・エンジニアリングと各種単体機械の製作、納入後のアフターサービスを軸に事業を展開。都市ガス・水素・石油化学・半導体・電子材料・船舶・医薬・各種水処理など、さまざまな分野で求められる機械・設備を手掛ける。従業員数は1,017名(連結2025年3月末現在)。

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