東北エリアのカートンタイプのボックスティシュにおいて、販売ランキングで国産品1位をキープしている三菱製紙の家庭紙ブランド「ナクレ」。岩手県にある北上工場で1997年から製造を開始し、現在、東北エリアと一部関東地方で販売している。この製品に込められた思いと、三菱製紙のサステナビリティに対する取り組みについて、「ナクレ」などの家庭紙の営業担当である山本 泰久さん、川亦 康広さん、岡崎 夏実さんに聞いた。
市場では珍しい国産材パルプ100%使用の「ナクレ」、高品質を誇る
東北エリアにおいて「ナクレ」は、いつも身近にある商品。利用者からは「大きくて柔らかく使いやすい」「肌にやさしい」とその品質が高く評価され、「やっぱりティシュはナクレじゃないと」と、祖父母から孫へと世代を超えて長年使い続けている家庭も多い。
一般に「国産品」として流通しているティシュの原料の多くは再生紙や外国材パルプを使っているが、「ナクレ」は国産材パルプを100%使用している点が大きな特徴だ。
「原料の7割が岩手県産木材、3割は近隣の東北エリアから調達して、北上工場で100%パルプ化している純国産品です。国産材を使っているため繊維が柔らかく、白く大きく、厚みがあり、肌触りがよくなめらかで高品質な商品となっています。今のティシュはコンパクト化が進んでいますが、ナクレは昔からの大きさを守り、市販のカートンサイズのボックスティシュのなかでは、いちばん大きなサイズとなっています」(山本さん)
岩手県(県庁)、北上市、金ケ崎町、大槌町(3市町はいずれも岩手県)にふるさと納税の返礼品として採用されており、人気ランキング上位の実績を持つなど、多くのユーザーに支持され、近年では全国から「質が高いと聞いたので使ってみたい」「購入するにはどうしたらよいか」という問い合わせが多く寄せられているという。
「ナクレを販売していない地域の方にはふるさと納税を紹介しており、全国の皆さまにお手に取って大きさや柔らかさを実感いただきたいです」(川亦さん)
地域の木材を活用することで健全な森を守る
ナクレを製造している北上工場は、もともとパルプ製造会社である白河パルプ工業が1965年に操業を開始した。翌1966年に三菱製紙と白河パルプ工業が合併し、三菱製紙北上工場となった。実に60年もの歴史を持つ老舗工場だ。
「もともと製紙会社は日本の森の木を使って紙を作っていたため、森の近くである内陸部に工場を建てることが多く、北上工場も豊かな自然に囲まれた環境にあります。しかし高度経済成長期以降、紙の使用量が増えて日本の木材だけではまかないきれなくなり、コストの安い海外から木材を輸入するようになりました。それに伴って製紙工場は臨海部へと移り、内陸の工場は減少。一方で、近年は国産材の利用が進んでいないことが課題となっており、政府もその活用を推進しています。こうした状況のなかで、北上工場は今でも地元の国産木材を有効利用して、製品を作り続けています」(岡崎さん)
「ナクレ(nacre)」は、“真珠のような光沢”を意味するフランス語。その名の通り、白くなめらかな紙質は国産材ならでは。ボックスティシュ、トイレットロール、ハンドタオル、除菌ウェットティシュを販売している。
適度な伐採を行わずに森林を放置すると、木々が過密状態となり、日光や養分が行き渡らず、やがて森は衰退してしまう。ナクレは国産材を活用することで森を健全に循環させる役目を果たしている。
また、CO2発生抑制にもひと役買っている。「ナクレは木材原料の産地と製造工場が近く、製品の配送エリアも東北エリアが中心のため、原料や製品輸送時のCO2発生抑制に貢献していると考えています」(山本さん)
また、北上市は森林部と都市部が近く、森の手入れを怠ると、土砂災害などの森林の影響を受けやすい地域でもある。こうした課題解決のために、三菱製紙では自治体と協力して森林保全活動に取り組んでいる。
国際的な環境ラベル「FSC認証」マークのついた「ルクレ」
FSC認証は環境、社会、経済の便益にかない、きちんと管理された森林から生産された林産物や、その他のリスクの低い林産物を使用した製品にFSCマークをつけて消費者に届ける仕組みです。FSCマークのついた認証製品を選ぶことで森林保全に貢献することができます。
三菱製紙は2001年に国内の製紙メーカーで初めて八戸工場(青森県)でFSC認証を取得し、FSCマークのついた印刷用紙などの認証製品を生産開始。2019年に「ルクレ」というブランドを立ち上げ、FSCマークのついたティシュペーパー、トイレットペーパーも生産を開始した。
FSC® C021528
「2019年から家庭紙ブランド『ルクレ』の生産販売をスタートしました。紙の利用をすることで森林保全に貢献するFSC認証製品としてふるさと納税などを通じて日本全国に展開したいという目標をもって現在営業活動に取り組んでいます」(山本さん)
「三菱製紙の販売代理店の三菱王子紙販売では、『FSC応援プロジェクト』https://shitte-erabo.net/ というサイトを設置。FSC認証制度を広く知ってもらうためさまざまなFSC認証製品を紹介しています。」(川亦さん)
「三菱製紙は木材を中心とした植物繊維をパルプ化して紙づくりを進めてきた会社です。豊かな森林を維持し、木材を有効に利用しながら持続可能な紙づくりを実践していきたいという強い思いがあります。これからも国産木材やFSC認証の木材を優先的に活用していきたいと考えています」(岡崎さん)
物価の高騰が続くなか、価格よりも品質や環境への配慮に目を向けて商品を選ぶということがなかなか難しい時代になっている。しかし、短期的な利益だけでなく長期的な視点を持ち、地域の活性化や雇用などを含めた人や社会・環境に配慮した消費行動「倫理的消費(エシカル消費)」へと舵を切ることが求められている時代でもある。国産材パルプ100%からできた「ナクレ」やFSC認証マークがついた「ルクレ」を選ぶことは、その第一歩となるといえる。
毎日何気なく使っているティシュ。その原料がどこから来てどこで製造されているのか。改めて考えてみませんか。なお、ナクレとルクレは三菱クラブや湘南カントリークラブでも使用されている。施設を利用した際には、そのなめらかな使い心地をぜひお試しください。
INTERVIEWEES
山本 泰久 HIROHISA YAMAMOTO
川亦 康広 YASUHIRO KAWAMATA
岡崎 夏実 NATSUMI OKAZAKI
三菱製紙株式会社
1898年創業。「水処理膜基材・フィルター等の不織布関連」「エレクトロニクス関連」「医療・ヘルスケア関連」など幅広い分野で、安全かつ快適なサステナブル社会の実現に貢献する製品の開発、販売を行うほか、適切に管理された森林からの木材(FSC®認証材)の調達を進め、「パルプ事業」、「脱プラ製品」の開発や、印刷・情報用紙で培った抄紙・塗工技術を活かして特徴のある「紙製品」の開発を行う。