日本郵船が「海の日」である2025年7月21日、キッザニア福岡に「船舶トレーニングセンター」パビリオンをオープン。ユニフォームを着て航海士になりきれると小中学生から注目の的だ。
日本郵船が2025年7月、キッザニア福岡に「船舶トレーニングセンター」パビリオンを出展して以来、好評を博している。操船シミュレーターなどを使って航海士の仕事を体験できるもので、国内に3施設あるキッザニアでも船に関連するパビリオンは初めてとなる。
KCJ GROUPが企画・運営している「キッザニア東京(2006年10月開業)」「キッザニア甲子園(2009年3月開業)」「キッザニア福岡(2022年7月開業)」は、3歳から15歳までのこども達の職業・社会体験施設だ。「キッザニア」は、実社会の約2/3サイズの街並みに、実在する企業が出展するパビリオンが建ち並び、さまざまな仕事やサービスを体験できるというもの。キッザニアのコンセプトは、「エデュケーション(学び)」と「エンターテインメント(楽しさ)」を合わせた『エデュテインメント』。こども達が好きな仕事にチャレンジし、楽しみながら社会の仕組みを学ぶことができる「こどもが主役の街」として定着している。
パビリオンではこども達がユニフォーム(ジャケットと帽子)を着た「航海士」になりきり、大型貨物船であるLNG(液化天然ガス)運搬船の操船トレーニングを体験する。船の種類や役割、海上交通ルールや船の操縦を行うブリッジ(船橋)内でのコミュニケーションルールなどを学びながら、3人1組で船舶シミュレーターを使ってLNG運搬船の操縦を行う。日本郵船広報グループの小澤実和さんは、次のように話す。
「7~8月は夏休みということもあり、繁忙期で毎回満員の状態が続きました。9月以降も、学校のイベントなどで小・中学生を中心に賑わっています。ユニフォームもかなり実物に近く、かっこよく仕上がっており、かなり人気のパビリオンとなっているように思います」
パビリオンではこども達がユニフォーム(ジャケットと帽子)を着た「航海士」になって操船体験をできる
協力し合ってチームワークで
物事を進めるため、その大切さも実感できる
そもそも日本郵船はなぜキッザニア福岡への出展を決定したのだろうか。その背景には海や船に興味を持ってもらいたいという思いがある。小澤さんが続ける。
「日本の輸入は重量ベースで99.6%を海運が占めており、航海士を始め、機関士など船に関する仕事は日本経済にとっても重要な仕事だと考えています。一方、その現状についてはあまり知られる機会がありません。私たち日本郵船は、1885年の創業以来、海を通じて人々の生活を支えてきました。海運とは単に船で物を運ぶだけでなく、世界の人々をつなぐ大切な役割も担っています。パビリオンでこども達に海や船に興味を持ってもらい、将来、海運業界の一員になる夢を抱くきっかけになってもらえればと考えています」
パビリオンの対象は3歳~15歳、やや難度高めなので推奨は5歳からとなる。これまでの体験者は男女半々くらい。比較的、男の子のほうが多い。1回につき定員は6名で所要時間は約30分。体験後にはお給料10キッゾをもらえる。キッゾとはキッザニアの専用通貨で、買い物やサービスに利用できる。また、成果物としてオリジナルの航海士ライセンスカードも取得できる。
船舶トレーニングセンターには、操船シミュレーターが2つ装備されている。こども達はそれぞれの操船シミュレーターで左舷、右舷、操舵の3つのポジションに分かれ、違う役割を担う。キッザニアのスタッフであるスーパーバイザーが船長役としてこども達をサポートする。
ルートとしてはLNG運搬船でまず門司港を出発し、九州と本州の間にある下関の関門大橋を抜けて、海原に出ていく。出港後は漁船群をよけたり、天候が悪化したり、やってくる船とすれ違うなどさまざまなハードルがある。最後に大海原に出ると特別な演出も用意されている。港湾当局や別の船と、英語の専門用語でやり取りする場面もあり、こども達からも「テンションが上がった」「迫力ある映像で、ドキドキハラハラする」など興奮した声が上がっている。同グループの阿江麻里子さんも、こう語る。
「こども達も、それぞれに役割があって、3人で協力し合ってチームワークで物事を進めるため、その大切さも実感できると喜ばれています。ユニフォームや航海計器もリアルですし、ディスプレイの映像も鮮明で、かなり実体験に近い感覚で入り込めます。」
全国唯一の船のシミュレーションができる、
日本郵船ができる限りのことを尽くしたパビリオン
船舶トレーニングセンターの立ち上げにかかわった航海士で海務グループの竹俣多聞さんは、船の実際の作業のなかで、どこを切り取るか、社内でも議論が行われたと言う。こども達にまず船自体を知ってもらいたいと、航海士の操船にフォーカスを当てた。
「船舶の操船オペレーションでは、専門用語が多かったり、多くのコミュニケーションも発生したりするので、それほど単純でもなく、こども達に体験してもらうにはどうすればいいか考えました。できるだけリアルな体験をしていただくというキッザニアの考えのもと、床の素材やレーダー、海図なども実物を模したものになっており、舵とエンジンのテレグラフについては実物を使っています。コミュニケーションについても、どんな言い回しがいいか、皆でチームワークをとりながら船を動かすとはどういうことなのか。シナリオも含め、さまざまなこだわりと工夫を凝らしました」
ちなみに、商船系の学校を卒業する以外にも、一般の大学卒業後に海運会社の自社養成制度によって航海士を目指す道もあるとのこと。
今後、同社では、チャンスがあれば、キッザニアの別拠点に船のパビリオンを設けたり、機関士の仕事体験ができたりできるトレーニングセンターも加えていきたいという。最後に小澤さんがこんなメッセージを送る。
「国内のキッザニア唯一の船のシミュレーションが体験できるパビリオンであり、私たちができる限りのことを尽くしたパビリオンでもあります。来ていただいたら絶対に後悔されることはありません。お子さんと福岡へお立ち寄りの際には、ぜひお越しいただければと思っております」。
INTERVIEWEES
竹俣多聞 TAMON TAKEMATA
海務グループ
二等航海士
阿江麻里子 MARIKO AE
広報グループ
小澤実和 MIWA OZAWA
広報グループ
日本郵船株式会社
1885年設立。定期船事業、物流事業、自動車事業、ドライバルク事業、エネルギー事業ほか、不動産、客船などの事業も手掛ける。日本の輸出入の99%以上を担う海上輸送を中心に、モノ運びを通じて人々の暮らしや生活を支える。グループとして大型貨物船を中心に約900隻の船舶を世界中で運航しながら、脱炭素など地球規模の社会課題の解決にも積極的に挑戦している。