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2026.02.26

三菱重工業

Mitsubishi Heavy Industries, Ltd.

三菱重工の非常用発電機が売上を伸ばしている理由とは?

三菱重工の非常用発電機がここ数年で、売上が倍増している。この状況は世界的なトレンドに要因があると言われる。果たしてその理由とは何か。

今、三菱重工で非常用発電機が売れているという。非常用発電機と言えば、縁の下の力持ちのような存在で、文字通り、非常時に電力電源の代わりに使用するもの。一般人のイメージからすれば、祭りの屋台で活躍する小型装置が思い浮かぶくらいで日頃あまり目にするものでもない。
もちろん三菱重工の非常用発電機だから大型のビルや工場向けなどが主流だろうし、売上急伸の原因を推測するなら、最近のニュースや肌感覚から見て、地震や水害などの自然災害で停電になったときのことを真っ先に思い浮かべるのではないだろうか。
内閣府・国土交通省の統計によれば、近年は局地的豪雨の増加により、ある年では被害額が急増するケースがあり、土砂災害の発生件数も増加傾向にあるものの、豪雨・水害は長期的には減少傾向にあるらしい。

三菱重工の非常用発電機

そうだとすれば、自然災害が売上増加の要因ではないようだ。ならば、何か。三菱重工エンジンシステムで非常用電源の営業を担当する発電システム事業部東日本統括部東日本営業グループの野村恭祐さんに聞いてみると、次のような答えが返ってきた。
「今、盛況なのは、実はデータセンター向けの非常用発電装置なのです。グローバルに展開するデータセンター事業者などへの売上を急速に伸ばしており、発電容量もかなり大規模なものになります。通常のビルに入っている非常用発電装置は大抵1~2台ですが、データセンターの場合は1カ所だけで10台以上、あるいは20台以上が必要で、まさに台数は倍増しています。当然、売上は通常の10~20倍の金額になります。世界的な情勢から判断しても、この右肩上がりのトレンドは、当面続くと見ています」

データセンターは
24時間365日止まらない

大量のデータを扱うデータセンター

データセンターとは、大量のデータを安全かつ安定して保管・処理するための専用施設で、インターネットやクラウドサービスの“心臓部”と言える。最近のDXやAI技術の進展によって、その需要は急激に増加し規模も拡大している。
データセンターは24時間365日止まらない仕組みとなっている。当然ながら、電力使用量も大きく、停電しても動くように巨大なバッテリーや発電機を備えることが必要不可欠になる。温度が上がると故障するため、強力な冷却設備が必要であり、地震・火災対策も非常に重要となっている。
データセンターでは、サーバー1台に非常用発電機1台が必要になると言われる。そのため、データセンターの需要は旺盛で、同社でも専門チームを発足させるほど。立地の特徴としては地盤の強い地域が選ばれる傾向にあり、東日本では千葉や北海道を中心につくられることが少なくない。
そもそも非常用発電機は消防法により設置が定められており、避難の際の誘導灯やスプリンクラーなど必要不可欠なものに電気を供給するために設置されてきたが、2011年の東日本大震災以降は停電時でも冷暖房を維持し被災者を保護するため、できるだけ長い時間電気を供給できる非常用発電機のニーズが高まっていった。最近主流となっている非常用発電機の発電時間は72時間。今ではBCP対策のため、そうした機能は当たり前になっている。非常用発電機はデータセンターのほかにも、自動搬送システムを有し24時間稼働する巨大物流倉庫でもニーズを伸ばしてきた経緯がある。

非常用発電機には平常時のメンテナンスが必須
メーカーが推奨する点検は忘れずに検討しよう

多くの企業にとって非常用発電機は不可欠なものだが弱点もある。それは水だ。そのため、これまでは建物の地下に設置されることが多かったが、場所によっては浸水の可能性があるため、今はエアコンの室外機と同じように屋上に設置することが多くなっている。
非常用発電機は都内ではオフィスビル、商業施設、病院、工場などで使われるケースが多く、ディーゼルエンジンは燃料を保管しやすく起動時間も速い。ガスと比べると万が一のときでも非常時に確実に利用できるというメリットがある。
日頃はあまり目にしない場所に置かれるため、一般の方はあまり気づかないかもしれない。同社発電システム事業部東日本統括部東日本サービスグループの樹神博英さんも語る。
「非常用発電機には必ずメンテナンスが必要です。通常、年1~2回の定期メンテナンスや不具合が発生した場合に現場に出向きますが、4年に1回、部品やオイルを交換したり、8年に1回はオーバーホールもしたりしなければなりません。いざという時のためにも、メーカーが推奨する点検は必ず行っていただきたいです」

まだまだ旺盛な需要が続くことが見込まれる非常用発電機。都市の再開発で生まれる大型の商業施設や命を守る病院、大切な情報を守るデータセンターなど社会を支えるさまざまなインフラには、非常用発電機の存在があることを忘れてはならない。電気は日々あたりまえのように使われているが、非常時に頼らなくてはならない存在として、非常用発電機とそれを守っている彼らのことを思い出してほしい。

INTERVIEWEES

インタビュアー写真

野村恭祐  KYOSUKE NOMURA

三菱重工エンジンシステム
発電システム事業部
東日本統括部 東日本営業グループ

インタビュアー写真

樹神博英  HIROHIDE KODAMA

三菱重工エンジンシステム
発電システム事業部
東日本統括部 東日本サービスグループ

三菱重工エンジンシステム株式会社

東京都港区芝5-33-11 田町タワー15F
三菱重工のグループ会社として発足。発電システム・産業用エンジン・ターボチャージャ及び、各種関連商品の販売・施工・サービスメンテナンスを提供する事業活動を行っている。非常用発電設備は、災害により送配電が停止した時に人命に関わる病院や高齢者施設、デジタル社会を支えるデータセンターなどに電力を供給することで役割を果たし、機能の損失を防ぎ、社会基盤を支える存在となっている。

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