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2026.10.15

三菱総合研究所

Mitsubishi Research Institute, Inc.

地銀をはじめ金融機関に評判!
三菱総研の“審査AIサービス”が好調

APIによる審査AIサービス利用イメージ。

三菱総合研究所が2020年末から始めた審査AIサービスが好調だ。これまで地銀をはじめ、労金、ノンバンクなどが採用し、利用が拡大している。このサービスによって、金融機関は住宅ローンや自動車ローンなどの個人向け審査業務において、難しい案件では数時間かかっていたものが、数分に短縮できるようになった。審査担当者の要員削減にもつなげられると多くの金融機関から好評で引き合いが増えている。

審査AIサービスは、これまで人間の審査担当者が行ってきた融資の可否判断をAIが学習し再現することで、審査業務の効率化と高度化を実現する。金融機関ごとに構築したAIモデルを、API※を介して各金融機関のローン審査業務システムと連携させる。申し込み案件ごとに「承認確率」を回答し、この値に応じ業務フローを制御して自動承認を実現していく。

審査AIモデルの学習イメージ。

この審査AIサービスは、審査判断そのものをモデル化しており、金融機関ごとに個別にAIモデルを構築し、長年蓄積してきたクレジットポリシーやノウハウを反映できる点が大きな特徴となっている。汎用的なモデルを使うことなく、その金融機関らしい判断を維持しながら、審査のスピードと安定性を両立できる。

AI活用においては、根拠の過程が見えにくくなる「ブラックボックス化」の懸念が指摘される。しかし、このサービスでは単に結果を出すだけでなく、どのような情報に基づいて判断したのか、検証・説明できる仕組みや運用を重視。判断結果の妥当性について、議論・検証を重ね、ステークホルダーに説明できる状態を確保している。同社BA・AI事業部門AIコンサルティング本部金融AIグループ主任研究員の稲葉 翔一さんはこう語る。

「私達は20年ほど前から、地方銀行の住宅ローン業務をご支援してきました。そのなかで見えてきたのが、ローン審査では多くの事前審査申し込みに対応する必要がある一方、最終的に融資実行へと至る案件は限られており、審査担当者に大きな負荷がかかっているという課題でした。そこで、AIを活用して入口段階の審査を迅速かつ効率的に行い、金融機関の業務効率化とお客さまの利便性向上を実現したいと考え、サービス化を進めました」

顧客は審査結果をより早く、
金融機関は業務負担軽減がメリット

審査AIサービスの最大のメリットは、審査のスピード向上と業務効率化だ。顧客は審査結果をより早く受け取ることができ、金融機関は審査業務の負担軽減につながる。また、AIによって品質の安定化にも寄与できるうえ、経験豊富な担当者のノウハウをAIに反映することで、担当者ごとの判断のバラつきを抑えることもできる。さらに、業務効率化によって、担当者は個別事情のある案件への対応や顧客との相談・提案業務など、人にしかできない業務により多くの時間を割くことが可能となる。

実際ある地銀では、過去のローン審査結果を学習したAIを活用することで、多くの案件を自動で判断することのできる体制を構築した。その結果、審査時間は従来の「半日~数日」から「数分」へと大幅に短縮され、顧客への回答がより迅速にできるようになった。

また、この取り組みによって審査案件全体の5~8割を自動化し、審査判断にかかる工数を約半数程度、削減できた事例もある。担当者はより高度な判断を要する案件や、顧客との相談・提案業務に時間を充てられるようになっている。

「今後はローンの申し込みの受け付けから審査・回答までの時間を、デジタルでつなぐことでさらに短縮し、土日に申し込みを受けた場合でも、当日中に審査結果を回答できるようになることが期待されています。お客さまにとっては『結果を待つ時間が短くなる』『休日でも手続きしやすくなる』といった利便性の向上につながります」(稲葉さん)

ローン審査業務のDX実現イメージ。

三菱総研が目指すのは
人とAIが協働する仕組み

今後審査AIサービスはどう進化していくのか。三菱総研では、たとえば融資条件の設定など、より複雑な判断が求められる業務への対応に加え、住宅ローンなどで懸念される不正申し込みや不正利用を早期に検知するモデルの構築にも取り組みたいと考えている。また、活用領域を広げるだけでなく、AIの判定精度の向上に加え、「分かりやすさ」や「使いやすさ」の改善にも継続的に取り組んでいく。将来的には中小企業・個人事業者向け事業融資についてもサービスを拡大していきたいという。同社AIコンサルティング本部金融AIグループ研究員の藤森 洸さんもこう語る。

「金融機関の担当者がAIの判断を理解・確認したうえで、安心して活用できるサービスへと進化させていくことが重要だと考えています」

今後も金融機関によるAI活用を拡大する方針を示している三菱総研。最後に担当者の2人が次のようなメッセージを送ってくれた。

「当社の金融AIグループは金融領域と他領域が合体して、AIを推進していく部署です。今後も我々のさまざまな知見を生かしながら、最新のAIトレンドをとり入れつつ、金融機関のコンサルを推進していきたいと考えています」(藤森さん)

「AIというと、『人の仕事を奪うもの』『機械がすべてを決めてしまうもの』という印象を持たれる方がいるかもしれません。しかし、私達が目指しているのは、人とAIが協働する仕組みです。三菱総研では金融の実務知見とAI・データ活用の技術を組み合わせ、金融機関の皆さまとともに、人とAIがよりよく協働する金融サービスの実現に貢献していきます」(稲葉さん)。

※API(Application Programming Interface)とは、異なるシステム間でデータなどを連携するためのインターフェースを定めた仕様のこと。

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

稲葉 翔一  SHOICHI INABA

BA・AI事業部門
AIコンサルティング本部
金融AIグループ
主任研究員

インタビュアー写真

藤森 洸  KO FUJIMORI

AIコンサルティング本部
金融AIグループ
研究員

株式会社三菱総合研究所

東京都千代田区永田町2-10-3
1970年設立。シンクタンク・コンサルティングサービス、ITサービスを手がける。社員数(連結)は4,695名(2025年9月30日現在、単体1,217名)。大手シンクタンクの一角を占める。国内外の知名度は高い。とくに官公庁に強く、研究分野は政策から科学技術、経済・金融など多岐にわたる。国内拠点は大阪、名古屋にある。また、大学や各専門分野、国会議員などに多数の人材を輩出している。

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