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「いのち、科学、エンタメ すべて成立させる!」
-三菱未来館 映像監督・プロデューサーインタビュー-
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工事中のパビリオン内で、加藤さん(左)、長谷川さん(右)
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前回の現地レポートでもお伝えしたように、現在、三菱未来館は中の調整や準備で大わらわです。この記事では三菱未来館で最も重要な映像コンテンツの見どころ・制作秘話を、監督の加藤友之さん(電通ライブ チーフ・クリエーティブディレクター)、クリエーティブプロデューサーの長谷川千佐子さんのインタビュー記事としてご紹介します。
「いのちをめぐる壮大な旅」の旅程計画は?
長谷川さん:この旅では『いのち』をテーマに、深海から火星まで、空間を超えた『縦の旅』、また40億年以上前から未来まで、時空を超えた『横の旅』を体験していただきます。物理的な移動と時間的な旅、2つの旅を楽しんでいただける内容です。旅の終わりに、三菱未来館を出たとき『いのち溢れる地球で暮らしていること、地球に生まれてよかった、地球を大事にしたいな』と思っていただけるようにと、設計しています。
バーティカルシャトル
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「いのちをめぐる壮大な旅」というコンセプトをどのように映像にするか
そこで最初に取り組んだのは、科学の正確性を確保するために、最新の宇宙科学について監修をしていただける専門家を探すことでした。今回、総合監修をお願いした東京科学大学の関根康人先生は、生命の起源や宇宙での生命に関する研究の第一人者であり、このプロジェクトにまさに最適な方でした。
関根先生との出会い
加藤さん:関根先生は宇宙科学、生命科学といったそれぞれの分野を横断する研究をされていて、今回のテーマに非常に適した方でした。関根先生にお話を伺うと、ご自分も小さいときに万博を体験していて感動した記憶があるので、今回2025年の万博に参加することを喜んでいただけました。
関根先生の研究はもちろん素晴らしいことは言うまでもなく、それ以上に哲学的な視点や文学、民俗学など、幅広い知識をお持ちで、エンターテインメントとしての表現にも理解がある方でした。お会いしたとき、日本の宝とも言える方だと感じました。関根先生は監修ではあるのですが、コアメンバーとして一緒に作り上げていただいている感覚を私たちは持っています。
長谷川さん:先生がおっしゃっていたことでとても心に残っていることがあって、『地球生命の歴史には3つのエポックがある』と。第1のエポックは生命が誕生したこと、第2のエポックは生命が海全体、さらに陸へと広がったこと、そして第3のエポックは現在、生命が地球を離れ宇宙へと進出しようとしていること。この3つ目のエポックを私たちは今まさに体験している。私たちは歴史の証人なんだ、と関根先生がおっしゃった時、非常に感銘を受けました。
制作に関わる多くのクリエイター
脚本の佐藤大さん(左)、音楽の村松さん(右)
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音楽を担当する村松崇継さんは、日本を代表する作曲家の一人で、ジブリ作品や「火の鳥」、さらには海外アーティストとのコラボレーションなど、実写映画・アニメ・一般アーティストの作曲・アレンジ等多岐にわたる経験をお持ちです。今回のテーマが壮大な生命賛歌、地球賛歌だと考えた時に、心を揺さぶられる感動的な表現ができる作曲家の方が必要でしたので、村松さんにお願いしました。
長谷川さん:年明けに収録予定ですが、村松さんは、すでにストーリーや映像を頭の中では音楽に変換されているようです。村松さんの音楽は優しくて心に響く感動的な楽曲が多いので、見終わった後のお客様の心の余韻を考えると、村松さんの音楽はこの映像には絶対必要!と思ってお願いしました。
時差を越えて映像制作を行うグローバルなチーム編成について
お話にも熱が入ります
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加藤さん:今回の万博という国際的な舞台にふさわしく、また三菱グループがグローバルに展開していることもありますので、制作陣もグローバルなチーム編成となるよう、日本のアニメーションやCG技術を活かしつつ、海外のデザイナーや3DCG/VFXなど世界的なクリエイターたちに参加いただきました。国際的な感性を取り入れることで、世界各国からやって来る多様な観客に訴求できる作品を目指しています。今回は日本とオーストラリア、タイが主なパートナーだったので、時差は2時間程度で済みました。ただ三者間での調整が必要な場合は、時間帯を限定してやり取りする必要がありました。それでも比較的スムーズに進んだと思います。
オリジナルキャラクター「ナナとビビ」は谷口亮さんのデザイン
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長谷川さん:谷口さんのキャラクターは、瞳の中に生命感や地球を感じさせるデザインが特徴的で、フォルムにも命の滴のような印象を持たせています。サイズ感や可愛らしさも絶妙で、見る人がほとんど『カワイイ』と口にするほど魅力的なキャラクターです。
加藤さん:そして、ナナとビビを演じる声優については、作品とストーリーに合った理想的な方をキャスティングしています。お二人は超一流の声優なので大変ご多忙でスケジュール調整が難しい中でも、この作品のテーマに共感していただき、参加いただけることになりました。詳細はまだお話しできませんが、きっとナナとビビにイキイキとした素晴らしい魂を吹き込んでくれると思いますので、楽しみにしていてください。
制作において、特に大変だった部分や意識されたポイント
納期、調整に追われながら、やることはまだまだ山のよう
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長谷川さん:おそらく今度の万博の主流であろう、AI、VRやARなどのデバイス・仕掛けを使わず、没入型の大迫力映像のみで勝負するという点は、非常にプレッシャーでした。ごまかしの利かない「映像」だけで観客を圧倒し、感動してもらう必要があるため、命をかけて取り組んでいます。
加藤さん:「生命×科学×エンターテインメント」の柱をいかに並立させていくかが、演出で一番頭をひねったところですが、大阪・関西万博の三菱未来館でしか体験できないエンターテインメントとして、どのように作品に作り上げるかを徹底的に考え抜きました。どんな最新の科学を入れ込めば良いのか、どれくらいのエンターテインメントに持って行けば、テレビでもない、映画でもない、配信コンテンツでも得られない驚きを感じてもらえるか。アニメでもない、ドキュメンタリーでもない、長編映画でもない、全く違うカテゴリーの映像コンテンツとは何なのか、を日々考えながら2年間やってきて、今も悩みながら、でも楽しみながら演出をしています。スタッフ一同、来場者の方々がこれまで決して見たことがない、最高の映像体験ができるよう、全身全霊を込めて制作にあたっています。
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最後に、これから三菱未来館を訪れる方々へのメッセージ
巨大映像装置の前で「お待ちしています!」
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加藤さん:とっても楽しい、全篇クライマックスとも言える驚きの映像コンテンツが今、出来あがりつつあります。きっとこれまで見たことのない世界が、そこには広がっていると思います。ぜひ、三菱未来館で確かめてみてください。お待ちしています!
現地に行かないとわからない部分、まだ非公開の内容など、色々ありましたが、「いのちを巡る壮大な旅」のお話を伺っているだけでもワクワクしてきました! あとは映像の大迫力。前の席でも後ろの席でも色々な楽しみ方ができるとのことなので、ぜひ何度も壮大な「深海から宇宙までの7,500万㎞の旅」を体験したいですね!
※2024年12月25日掲載。本記事に記載の情報は掲載当時のものです。