
新機能「できちゃうV冷凍」は野菜を冷凍してそのまま砕いて使えるという優れモノ。しかもフードロス削減にも貢献できる。買い替えにおすすめの冷蔵庫はコレだ!
三菱電機は2025年度から新機能「できちゃうV冷凍」を搭載した冷凍冷蔵庫「MZシリーズ」「MDシリーズ」「WXDシリーズ」「BDシリーズ」「WZシリーズ」「JWシリーズ」の6シリーズ12モデルを市場投入、フードロス対策にも対応した冷蔵庫として好評を博している。
450L以上の容量、ファミリー層向けの冷凍冷蔵庫に搭載されている新機能「できちゃうV冷凍」は、野菜を袋に入れて冷凍し、必要なときに冷凍したまま好きなサイズに料理に使える。包丁やまな板がいらず、時短にも効果的だ。同社静岡製作所営業部冷蔵庫営業課の藤澤 充世さんは次のように語る。
「保存期間が延びることに加え、その日のメニューに合わせて野菜のサイズを自由に調整できるので、メニューのレパートリーが広がり、野菜を無駄なく使い切ることができます。包丁を使う手間が省け、洗い物が減るのもうれしいポイントとなっています」
また、新シリーズでは従来からの機能である、食品をおいしく冷凍し、解凍いらずで、使いたい分だけサクッと切れる「切れちゃう瞬冷凍A.I.」や、AIが使用状況に応じて自動で霜の発生を抑制する「霜ガード」機能も継続搭載している。
最もフードロスが多いのは野菜
「できちゃうV冷凍」で台所の課題を解決
この「できちゃうV冷凍」が注目された背景には社会課題となっているフードロスがある。令和4年度の環境省の調査によれば、2022年の日本のフードロス発生量は472万t。そのうち家庭系フードロスは236万tある。ごみ処理費用増加やSDGsの観点からも、今後食材の無駄を減らす意識が拡大することは必至だ。なかでも最もフードロスが多いのは野菜で、全体の3割を占める。とくに葉物野菜は野菜室に保存しても、あっという間に色みが変わり、仕方なく捨ててしまうという現状がある。
また、野菜の保存期間を延長する手段である冷凍保存については「冷凍後の使い道を事前に想定して、使用するサイズにカットしてから冷凍する必要がある」「茹でたり炒めたりする・下茹でするなどの下処理の手間」という課題があった。
「通常の冷凍保存では例えば、あらかじめキャベツを野菜炒めにするならざく切りにしたり、餃子にするならみじん切りにしたりして保存する必要があるなど、手間がかかりました。しかし、『できちゃうV冷凍』では、ざく切りにして冷凍室に保存した野菜を砕くことが出来ます。下処理をすることなく、その日の献立に合わせていろいろなサイズに砕くことで、さまざまなメニューに簡単に使うことができるのです」(藤澤さん)
こうした背景と課題を受け、新機能「できちゃうV冷凍」では「野菜を冷凍する」ことで、調理の時短、メニューの汎用性向上、フードロスの削減を実現している。

できちゃうV冷凍<3STEP>。
冷蔵庫本来の機能を追求し
売上げは4倍に拡大
一方、開発でこだわったのはどんなところだろうか。同社静岡製作所冷蔵庫製造部先行開発グループの小池 成彦さんはこう語る。
「開発が始まったのは2020年頃から。当初はフードロスというよりも、日々の調理をサポートするための機能として何か新しい価値を提供できないかというコンセプトで開発がスタートしました。開発を進めていく中、社内のさまざまなメンバーと議論していくなかで、フードロスにも貢献できる機能としても提案できると考えるようになったのです」
新機能の課題となった点はどこにあったのか。小池さんが続ける。
「野菜を冷凍して砕いたあとにどうするのか。つまり、お客さまにどう使ってもらえるのか、という点を深堀りする必要がありました。野菜を冷凍して砕くことで何がうれしいのか、砕いたあとにどんなレシピに使えるのか。料理をつくる人の目線に立って、この機能を考えるようになりました。結果として、フードロス削減から調理の時短まで、幅広い価値を提案することができました。新しい調理の体験として、多くの方に使っていただきたいと考えています」
発売以降の反響は大きい。フードロスへの注目度や「できちゃうV冷凍」の使いやすさも相まって、前製品と比べて売上げは4倍にまで拡大している。

「できちゃうV冷凍」で冷凍したキャベツの使用例。
「最新型の冷蔵庫について、他社はIoT機能を中心に強化する中で、当社としては切れちゃう瞬冷凍など、冷蔵庫の基本性能である「冷やす」ことにこだわった製品づくりを行ってきておりました。奇をてらう新機能より本当に必要とされる機能を愚直に追い求めた結果「できちゃうV冷凍」は細かい設定などのためにスマホを使いこなす必要が一切なく、スマホを持っていない方でも簡単に設定できます。また、高齢者やお子さんでも簡単に手で野菜を砕いて使うことができます。ユーザーの性別や年代を限定しない、冷蔵庫本来の機能を追求した製品であることが売上げ向上にもつながったのではないかと思っています。」(藤澤さん)
これから夏季にかけてはボーナス商戦が始まる。今、買い替え需要に求められているのは、大容量かつ自宅の設置寸法に適しているかどうか。そして使いやすさだ。しかも、現状「できちゃうV冷凍」のような機能を搭載している競合他社は存在しない。藤澤さんが言う。
「お客さまが環境問題に配慮した家電を求める傾向はより高まっています。また、家計にとってもインフレが続くなか、フードロスを減らし、電気代などをどれだけ節約できるかも重要になっています。新製品はお子さんから高齢者の方まで使える冷蔵庫です。まずは野菜が冷凍できることを知っていただいて、多くの方に便利に活用していただきたいと思っています」。
INTERVIEWEES

藤澤 充世 MITSUYO FUJISAWA
静岡製作所
営業部 冷蔵庫営業課

小池 成彦 NARIHIKO KOIKE
静岡製作所
冷蔵庫製造部先行開発グループ
三菱電機株式会社
千代田区丸の内2-7-3東京ビル
1921年設立。兵庫県神戸市にある三菱造船電機製作所(現在の三菱重工業神戸造船所)から分離独立するかたちで設立された。日本を代表する大手総合電機メーカーの1つ。連結従業員数は14万9,134人。家電から人工衛星まで幅広い製品を製造販売。FA機器、エレベータ、パワー半導体などインフラ、インダストリー・モビリティ、ライフ、ビジネス・プラットフォーム、セミコンダクター・デバイスなど多くの有力部門で国内トップクラス。