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2026.06.11

三菱商事

Mitsubishi Corporation

ローソンのチルド配送車両にEVトラックを導入
三菱商事が物流オペレーションの課題解決に着手

物流業界ではEV導入がまだ浸透していない。EVトラックの本格導入に向け、三菱商事がオール三菱で物流オペレーションの合理的な最適解を求める。

三菱商事は、三菱食品とその子会社ベスト・ロジスティクス・パートナーズ(以下BLP)、ローソンと連携し、2026年1月よりローソン店舗向けチルド配送に使用する車両としてEVトラックを2台導入した。この取り組みは、三菱食品の物流拠点(神奈川県川崎市)にEV充電設備を設置するとともに、三菱ふそうトラック・バス製のEVトラック「eCanter」をBLPの物流パートナーにて2台導入し、ローソン店舗向けチルド配送に使用するものとなる。

EV充電設備については、三菱商事が出資するスタートアップ企業、ユアスタンドと連携し、設置場所提案・充電器選定・設置工事請負・充電オペレーション提案までワンストップで充電サービスを提供。EVトラックについては、三菱オートリースがEV特有のモーターや駆動用バッテリーもカバーするフルメンテナンスでのリースを提供する。走行に必要な電力については、MCリテールエナジーが提供するCO₂フリーでの電力プランを利用することによって、充電から走行までのCO₂排出量は実質ゼロとなり、配送由来のCO₂排出量を年間約35.4t削減できる見込みだ。

全体のスキームは三菱商事が主導し、オール三菱で取り組む試みとなる。社会実装による検証をふまえ、物流拠点へEVトラックの導入拡大を検討していく。三菱商事モビリティ・ソリューション本部eモビリティソリューション事業部電動化推進チームリーダーの中村 紘子さんは次のように語る。

「現在は順調に稼働している状態です。導入にあたっては、EV化を一気に進めてしまうとオペレーションに支障が生じる可能性があるため、まずは2台から導入を始めています。もし2台が同時に故障しても、ディーゼル車でカバーできる範囲が2台であることから、念のため、何かがあっても対応できるところから導入を開始しました」

EVを導入しても
既存オペレーションを維持できるか

今回の取り組みは、EVトラックにおけるオペレーションの課題を検討するねらいがある。たとえば、コンビニのトラックは24時間365日稼働しており、これまでのオペレーションにEV充電にかかる時間は含まれていない。そのため、EVを導入しても既存のオペレーションをくずさずに運用できるかという課題がある。既存のオペレーションは緻密に組まれたもので変更が難しい。オペレーションの分析は三菱商事が担っている。中村さんが説明する。

「2台の導入というのは少なく感じられるかもしれません。確かに台数を増やして机上計算をすることも可能ですが、その数値が正しいかどうかを検証しない限り、一気にEV化に踏み込むのは難しいと考えています」

これまでにもEV導入を検討したことはある。だが、当時のEV性能は初期段階にあり、実用化の検討には至らなかった。しかし、今ではEV性能が向上しており、充電器の種類も増加、社会実装できる環境が整ったと判断した。

EV充電設備。

誰かが始めなければ
突破口は開けない

巷でもEVは走っているのをよく見かける。当然トラックもEVは浸透しつつあるように見えるが、実際はそうでもないらしい。

「EVトラック自体が非常に高価で、コストがかかるのです。しかも新車でしか購入できません。だから多くの物流業者がなかなか踏み切れない。燃料費を比べれば、電気代のほうが確かに安いのですが、車両価格や充電設備の導入を考えると、トータルコストが大きい。政府からの補助金を鑑みても割高なのです」(中村さん)

充電時間についても、急速充電器ならば30分~1時間程度だが、今回導入するのは普通充電器で3~5時間かかる。ゼロから100%まで充電すれば16時間。それでも取り組みが可能なのは、川崎の物流拠点の車両は走行距離が短く、充電時間も取れるからだ。急速充電器と普通充電器を比較しても、設備コストは急速充電器が圧倒的に高い。中村さんも言う。

「だからこそ、できる限りコストを低減し、EVオペレーションの合理的な最適解を求めることが最終的な目的となるのです。今は2台ですが、今後段階的に台数を増やしていきたいと考えています。物流の課題として、荷主からEV化への要望は高いものの、コスト面を考えるとなかなか踏み切れない事情もあるのです」

誰かが始めなければ、突破口は開けない。三菱食品やローソンも先行的な取り組みを行うことによって、荷主にアピールするねらいがある。中村さんはこう話す。

「コスト負担は増すものの、オペレーションが確立していけば、EVを導入する気運も高まっていくとみています。ドライバーにとってEVは、ディーゼル車と比べて振動が小さく疲労が少ないほか、加速性能にも優れるなど、運転環境の改善にも寄与します。
一方で、CO₂排出量削減に向けた課題は多く、車両導入に加え、充電インフラ整備や電力調達、運用面での最適化など、EV導入には依然として高いハードルが存在します。こうした課題に対し、わが社はモビリティ×エネルギー領域で、EV車両(三菱オートリース)、電力(MCリテールエナジー)、充電サービス(ユアスタンド)を組み合わせたセクター横断的なソリューションを提供し、物流・タクシーなど商用モビリティ分野の電動化・脱炭素化を推進していきます。
また、こうした三菱グループの総合力を生かした包括的な取り組みは、昨今の燃料価格高騰や、今後本格化が見込まれるカーボンプライシングなど、物流業界が直面する課題に対する実効性の高いソリューションにもなり得ると考えています。」

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

中村 紘子  HIROKO NAKAMURA

モビリティ・ソリューション本部
eモビリティソリューション事業部
電動化推進チーム チームリーダー

三菱商事株式会社

東京都千代田区丸の内2-6-1(丸の内パークビルディング)
創立は1954年7月1日(設立1950年4月1日)。本店所在地は三菱商事ビルディング(登記上の本店)と丸の内パークビルディング。全社拠点数(2026年4月1日現在)は国内:11海外:98(事務所等43/現地法人 本店33、支店等22)。連結対象会社数(2026年3月31日現在)は子会社:833、関連会社等:349の合計1,182社に上る。従業員数(2026年3月31日現在)は、単体:4,456名、連結:6万3,037名(三菱商事単体および連結子会社従業員数)。三菱グループの顔役的役割を果たしている。

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