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2026.06.18

大日本塗料

Dai Nippon Toryo Company,Limited

鉛、クロム、PCB、アスベスト…
大日本塗料が塗膜の有害物質分析を本格化

大日本塗料が塗膜の有害物質分析サービスをスタートさせている。建物の解体・改修時の新たな塗料提案とあわせ、“ワンパックサービス”を提供することで差別化を図る。

大日本塗料が、鉛、クロム、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、アスベスト(石綿)など塗膜の有害物質の調査分析を本格化させている。これまで塗料には、鉛やクロム、PCB、アスベストが品質向上や施工性向上のために用いられてきたが、2000年代にアスベスト被害がニュースでクローズアップされたように、今はその有害性によって使用が禁止または制限されている。

しかし、過去に前述の有害物質を含む塗料が、橋梁や水門などの鋼構造物、石油・化学・電力・ガスのプラント設備など広い分野で使用されてきた経緯がある。そのため、剥離や除去作業を行う際に、塗膜を処分する適切な廃棄物処理を行わなければならない。建物の解体・改修時の事前調査で塗膜に有害物質含有の可能性がある場合は、分析を行う必要がある。同社研究部研究第一グループ分析チームの八木沢 隼さんはこう語る。

健康障害防止にかかわる基準(含有試験)。鉛やクロム、PCBを含む塗料の剥離やかき落とし作業において作業者の健康障害を防止するための含有試験における基準。

「塗膜は劣化などによって、美観が損なわれたり、機能が低下したりするため、やがては塗り替えや、建物を解体・改修をする時期がやってきます。今は法規制が強化されており、塗り替えや解体・改修の際に、塗膜に有害物質があるかないかを事前調査する必要があります。その方法は決まっており、私達のような専門業者による調査分析が不可欠となります。分析の結果、有害物質がある場合は、作業者の健康被害防止、周辺環境への配慮と2つの側面から徹底して対策を講じる必要があるのです」

アスベスト被害による
中皮腫の死亡者が増加している

大日本塗料では2023年4月より有害物質の分析をスタートさせているが、なぜ有害物質の法規制は強まってきたのか。たとえば、アスベストは非常にとげとげしい綿のような繊維状の鉱物だ。このアスベストは鉱物であるため熱に強く、塗料の性能も高める特徴があるため、高度経済成長期から重宝されてきた過去がある。しかし、建物の解体時などに作業者が吸い込むことで肺の健康障害を起こしやすく、とりわけ中皮腫(ちゅうひしゅ)に罹患するケースが多い。この疾患は肺や心臓、腹部臓器を包む「中皮」から発生する悪性腫瘍で、30〜40年という長い潜伏期間を経て発症するアスベストの曝露が主因といわれる。約9割が胸膜に発生し、呼吸困難や胸痛が初期症状として多く見られる。そして問題は、アスベスト被害が時間差でやってくるということだ。つまり、これから被害のピークを迎えるということである。八木沢さんは言う。

石綿輸入量と中皮腫による死亡者数の推移。

「アスベストによる被害が拡大して以降、2006年9月の法改正によって原則使用禁止(完全禁止は2012年)となりましたが、最近になって中皮腫の死亡者が増加しているのです。それは被害が時間差でやってくるからです。そういう意味でも、解体時に有害物質分析の事前調査は必要です。もし仮に、アスベストが入っている建築物を解体する場合、アスベストを吸入しないように専用の呼吸保護マスクなどを装着する必要があります。解体現場についても、飛散しないように周囲を囲い込まなければなりません。いずれにしても有害物質があるかないかで作業時の対策の仕方が大きく変わってくるのです」

現場で安心・安全な工事を支える
パートナーをぜひ選んでほしい

現在、有害物質分析サービス自体は、調査会社を中心に乱立している状態だ。一方、塗料メーカーは建物の改修段階で適切な塗料使用を提案することになるが、大日本塗料では、その前段階で有害物質の調査分析を請けおい、そのエビデンスをもとに新たな塗料使用を提案する“ワンパックサービス”で差別化を図ろうとしている。

アスベスト事前調査の流れ。

アスベストの事前調査については、2021年4月から解体・改修などのすべての工事を行う際、工事に先立って調査しなければならないと定められており、2022年4月からは一定規模以上の工事である場合は当局への報告も義務づけられている。その事前調査では書面調査、現地調査を経て、試料採取し分析するという流れとなる。または現地調査の段階で、最終的な分析を経ずにアスベストを有りとみなす場合もある。同社でも調査分析のニーズは年々高まっているが、とくに工場の解体・改修の際には気をつけるべきだと八木沢さんは語る。

「アスベストについていえば、燃えにくいという特性を生かして工場の外壁材に使われたケースが多く、法規制以前に建てられた工場には入っている可能性が高いとみています。現在、解体・改修する際には必ず調査することが義務づけられています。また、事前調査を怠った業者が書類送検されるケースが報道されるなど年々、アスベストに対する意識は高まっています。

大抵の工事現場の概要看板には有害物質分析の結果が掲載されている。皆さんも街角で工事看板を見たらチェックしてみてほしい。今後、被害を拡大させないよう八木沢さんもこう強調する。

「工場など企業のインフラは適切な管理が求められます。工事では短納期を求めることも少なくないですが、現場で安心・安全な工事を支えるパートナーはぜひしっかりと選んでほしいです。私達も、より専門性の高いサービスを提供し貢献していきたいと考えています」。

INTERVIEWEE

インタビュアー写真

八木沢 隼  HAYATO YAGISAWA

研究部
研究第一グループ
分析チーム

大日本塗料株式会社

大阪府大阪市中央区南船場1-18-11 SRビル長堀
1929年7月設立。塗料、ジェットインクの製造・販売、各種塗装機器装置の販売・塗装工事などを手がける。1936年に旭硝子(現AGC)系列の旭ラッカー製造所を吸収合併し、社名を大日本塗料に改称。橋梁やプラントなどの構造物分野でトップシェアを誇る総合塗料メーカーで通称「DNT」。東証プライム市場。創業からの重防食技術でVOC(揮発性有機化合物)や構造物のLCC(ライフサイクルコスト)を削減、一貫した「塗装システム」を提案するのが強み。従業員数は702名(連結:2,496名)(2025年3月31日現在)

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